メルカダンテ/ホルン協奏曲

ホルン協奏曲/ダニエル・ブルグ(1986)
CD(PG PCD−7279)

ロマンティック・ホルン協奏曲集
1.ウェーバー/コンチェルティーノ ホ短調Op45
2.メルカダンテ/ホルン協奏曲ニ短調
3.F・シュトラウス/ホルン協奏曲ハ短調Op8
4.シューマン/アダージョとアレグロOp70
   (アンセルメ編曲)

  ダニエル・ブルグ(ホルン)
  フェルナンド・ロザノ指揮
  フランス放送リリック管弦楽団
   録音 1986年

 ダニエル・ブルグがパリ国立歌劇場の首席ホルン奏者をつとめていたころの録音です。
 ウェーバーの「コンチェルティーノ ホ短調」は難曲中の難曲です。フランスではバルボトゥの初録音以来の録音です。やや速めのテンポで演奏しています。そのテクニックは完璧です。カデンツァはゆったりと素晴らしい重音が響きます。「アラ・ポラッカ」はこちらもやや速めのテンポで演奏しています。ブルグの完璧な演奏は見事で流麗そのもの、ハイトーンまで難なく出しています。名演です。
 メルカダンテの「ホルン協奏曲ニ短調」は短い作品で録音は少ないですがオペラ作家らしい名作です。ブルグはラルゲットをやや速いテンポで演奏しています。第2楽章「アラ・ポラッカ」はこちらも速めで流麗な演奏です。コーダの超絶技巧は聞きものです。
 フランツ・シュトラウスの「ホルン協奏曲ハ短調」はタックウェルが初めて録音した作品です。大変演奏が難しい曲で録音はそれほど多くはありません。ブルグの録音はティルシャルに次いで3人目でした。緊張感に満ちたアレグロ・モデラート、穏やかなアンダンテ、再現部にあたるアレグロの緊張感は素晴らしいものがあります。またこの豊かな響きのホールは特筆ものです。
 シューマンの「アダージョとアレグロ」はホルンとピアノのための作品ですが、アンセルメはスイス・ロマンドの首席ホルン奏者エドモン・ルロワールのためにピアノ・パートをオーケストレーションしました。この編曲による録音は少なくてルロワール、バウマンについで3人目でした(その後ツークの録音があります)。ブルグの明かるいホルンで聴くアダージョはかつてのフランスのホルンを思わせるものです。またピアノ版とは異なる印象を受けます。アレグロの素晴らしい演奏はホルン協奏曲の素晴らしい響きで感動的です。


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