ハイデン/ホルン作品

ホルン・ソナタ/リチャード・ディーン(2016)

CD(LITTLE COTTAGE LC-895)

20世紀中頃のホルン・ソナタ集
1.スティーヴンス/ホルン・ソナタ(1953)
2.ヒンデミット/アルトホルン・ソナタ変ホ長調(1943)
3.ハイデン/ホルン・ソナタ(1939)
4.ヒンデミット/ホルン・ソナタ(1939)

 リチャード・ディーン(ホルン)
 ティモシー・ホワイトヘッド(ピアノ)
 録音 2017年7月(1)
     2016年6月(2〜4)

 リチャード・ディーンはアメリカのホルン奏者です。ニューヨーク・フィルハーモニックの副首席を経て現在は首席ホルン奏者です。アトランタ交響楽団の首席は27年つとめました。マイロン・ブルームやマイケル・ハットフィールドに師事しています。このアルバムはヒンデミットを中心に20世紀中頃に書かれた作品を演奏しています。
 ハルゼー・スティーヴンス(1908〜1989)はアメリカの作曲家、ホルン・ソナタは1953年の作品です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・モデラート」は勢いのある主題です。元気なホルンのイメージがあります。第2楽章「ポコ・アダージョ」は低音に始まる穏やかな主題がきれいです。雄大な草原のようのも感じます。第3楽章「アレグロ」は快活なホルンで叫びのように大きく響きます。特別のテクニックは使いませんのでホルン協奏曲にしてもよいような作品です。
 パウル・ヒンデミット(1895〜1963)のアルトホルン・ソナタ変ホ長調は1943年の作品。もともとアルトホルンのために書かれていますが、ここではフレンチホルンで吹いています。第1楽章は穏やかな雰囲気の主題でいやされます。第2楽章の踊るようなリズムとメロディは印象的です。ディーンのホルンは力強いです。第3楽章は朗々と歌うホルンの奥深い響きが素晴らしいです。通常は第4楽章の前に「ポストホルン」と題した演奏者の対話を読むのですが、この録音では入りません。ブックレットにはその対話が掲載されているだけに残念です。演奏はピアノのきらめきとホルンの明るい響きが織りなす名演奏です。
 ベルンハルト・ハイデン(1910〜2000)はドイツの作曲家でアメリカに移住しています。ホルン・ソナタは1939年の作で3つの楽章で構成されています。第1楽章は「モデラート」で流れるような美しい主題が歌われます。第2楽章は「テンポ・ディ・メヌエット」ですが、穏やかなテンポと速いテンポがあって面白いです。第3楽章は「ロンド:アレグロ」は、軽快なホルンが明るく響きます。楽しそうな作品です。
 ヒンデミットのホルン・ソナタ ヘ長調は1939年の作品。難曲で、ヘ調とはいえ無調性のように半音をやたら使いますがディーンの演奏は実に素晴らしく、なめらかできれいな演奏です。第1楽章の激しいまでの勢いのある主題は絶品。第2楽章は穏やかな楽章です。ヒンデミットの緩徐楽章は魅力的です。流れるような主題が響きます。第3楽章は冒頭から流れを断ち切るような音型があります。かと思えば今度は流れるような主題がきて、それをまた断ち切るという戦前のヒンデミットの気持ちが出ているような作品です。リチャード・ディーンの演奏は実に素晴らしいものです。ホルンを十分に鳴らしてくれます。


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