ジョルジュ・バルボトゥのホルン作品

独奏ホルンのための5つの詩的な小品/ハワード・ウォール(2018〜19)
CD(Affetto AF2002)

無伴奏ホルンのための作品集
1.ケクラン/モノディーOp218bis
2.アムラム/モンクのためのブルースと変奏曲
3.ゴメス/ラ・カラベラ
4.レフ・コーガン/カディッシュ
5.リディア・ローリー・バスラー/アパラチア
6.バルボトゥ/独奏ホルンのための
         5つの詩的な小品より
   1)アンダンテ・カンタービレ
   2)ムーヴメント・トレ・リブレ
   4)アレグロ・ヴィーヴォ
7.エリザベス・ラウム/イディオム
8.ゾルト・ナジ/ハッピー・ブルース
9.カーター/リトレイシング2
10.ピアソラ/タンゴ・エチュード第4番
          (ハワード・ウォール編)
11.カミンスキー/ブラスト
12.レイミー/3つのプレリュードから第3番
13.カライヴァノフ/パストラール
14.プルースト/放浪人
15.エリカ・ラウム/聖アウグスティヌスの告白
   〜無伴奏ホルンのための音詩
16.ダンテ・エンケ/ホローポ風トナダ
17.ブルガリア民謡/「夢見るトドラ」と民族舞踊曲

 ハワード・ウォール(ホルン)
 録音 2018〜2019年
     2019年10月(9&16)

 アメリカのホルン奏者ハワード・ウォールによる無伴奏ホルン作品集です。10の作品が世界初録音になります。
 シャルル・ケクランの「モノディー」は無伴奏ホルンのための作品です。ケクランの遺作となった作品です。穏やかなテンポで森に響くようなホルンで低音から高音まで滑らかに演奏されています。
 デイヴィッド・アムラムの「モンクのためのブルースと変奏曲」はブルース風のホルンの歌とヴァリエーションが演奏されています。途中に譜面台を叩くような音が聞こえたり、声を出してホルンを吹くなど面白い手法を使っています。穏やかな作品です。
 アリス・ゴメスの「ラ・カラベラ」はこれが世界初録音です。ホルンが縦横に華やかな演奏をしています。狩りのホルンのように動きのある素晴らしい作品です。
 レフ・コーガンの「カディッシュ」はイスラエルのホルン奏者メイヤー・リモンのために書かれています。穏やかに始まって民謡風の歌が流れます。美しい小品です。
 リディア・ローリー・バスラーの「アパラチア」は世界初録音になります。アメリカのアパラチア山脈の雄大な風景を表現したように朗々とホルンを演奏しています。
 ジョルジュ・バルボトゥの「無伴奏ホルンのための5つの詩的な小品」はホルン作品の名作です。その中から3曲を演奏しています。第1曲「アンダンテ・カンタービレ」は大変美しい主題で流麗な演奏です。フランスのホルンらしい明るさもあります。第2曲「ムーヴメント・トレ・リブレ」はこれも穏やかなテンポで演奏します。ゲシュトップも入って音色の違いも聴かれます。第4曲「アレグロ・ヴィーヴォ」は速いテンポで動きのある主題を滑らかに演奏しています。ここでもゲシュトップを使います。見事な演奏です。
 エリザベス・ラウムの「イディオム」は世界初録音になります。イディオムとは熟語とか慣用句の意味があります。この作品は語りかけるような主題が演奏されています。まさに説得力があるような主題が演奏されています。中間部にはハイトーンも聴かれます。後半には主題の再現があって雄大さも感じられます。
 ゾルト・ナジの「ハッピー・ブルース」はアメリカのブルースを歌うようにホルンが多彩な表現をしながら演奏しています。フラッタータンギングも使います。超絶技巧が必要な作品です。ハワード・ウォールの超絶技巧が素晴らしいです。
 エリオット・カーターの「リトレイシング2」はホルンの低音を多用して深みのある響きの小品です。
 ピアソラの「タンゴ・エチュード第4番」はハワード・ウォールの編曲で、これが世界初録音になります。穏やか主題に始まって、後半にはタンゴ風の主題も聴かれます。
 ローラ・カミンスキーの「ブラスト」は世界初録音になります。この作品はホルンが力強く縦横に演奏しています。後半には細やかなフレーズも現れます。
 フィリップ・レイミー「3つのプレリュード」から第3番は世界初録音になります。狩りのホルンのような動きのあるプレリュードです。楽しい小品です。
 ストヤン・カライヴァノフの「パストラール」はこれも世界初録音になります。田園風景を表現するにはホルンが一番合います。雄大な風景をホルンが朗々と演奏します。
 パスカル・プルーストの「放浪人」はこれも世界初録音になります。放浪するかのようにふらつくようなホルンの主題が流れます。このような自在な動きを楽しそうに演奏しています。
 エリカ・ラウムはエリザベス・ラウムの娘さんです。「聖アウグスティヌスの告白」は無伴奏ホルンのための音詩(トーン・ポエム)になっています。語りかけるように告白する、そんなアウグスティヌスの気持ちを表現するようにホルンが縦横に演奏しています。これは素晴らしい作品です。
 ダンテ・エンケの「ホローポ風トナダ」は世界初録音になります。ペルーの民族音楽をもとに書かれた無伴奏ホルン作品です。南米のダンス音楽の楽しそうな雰囲気があります。
 ブルガリア民謡の「夢見るトドラ」と「民族舞踊曲」も世界初録音になります。ブルガリア民謡の美しい主題と民族舞踊のテンポの変化が面白いです。ダンス音楽で低音を使いますので響きが素晴らしいです。大変素晴らしいアルバムです。


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