J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールト&塚田 聡(2000)
CD(BIS KKCC-2316/7)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番へ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.      〃       第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
7.     〃       第5番ニ長調より
            第1楽章:初版BWV1050a

 鈴木 雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン
 トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールト
     (コルノ・ダ・カッチャ)(1)
 塚田 聡(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
 三宮 正満(オーボエ)(1&2)
 尾崎 温子(オーボエ)(1)
 前橋ゆかり(オーボエ)(1)
 堂阪 清高(ファゴット)(1)
 若松 夏美(ヴィオリーノ・ピッコロ)(1)
 鈴木 秀美(チェロ)(1〜7)
 鈴木 雅明(チェンバロ)(1〜7)
 島田 俊雄(トランペット)(2)
 ダン・ラウリン(リコーダー)(2&4)
 寺神戸 亮(ヴァイオリン)(2〜4)
 山岡 重治(リコーダー)(4)
 菅 きよみ(フラウト・トラヴェルソ)(5&7)
 若松 夏美(ヴァイオリン)(5&7)
 寺神戸 亮(ヴィオラ)(6)
 高田あずみ(ヴィオラ)(6)
 福沢 宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 山広 美芽(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 櫻井 茂 (コントラバス)(1、3〜6)
  録音 2000年5月28日〜6月2日
    神戸松蔭女子学院チャペル

 日本のオリジナル楽器オーケストラ、バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハのブランデンブルク協奏曲です。指揮とチェンバロは創立者の鈴木雅明です。

 ブランデンブルク協奏曲第1番は第1楽章が2本のホルンと3本のオーボエの華やかな響きが聴かれます。理想的なテンポで始まります。トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールトと塚田 聡がコルノ・ダ・カッチャを演奏しています。ナチュラルホルンとは少し異なる音色が魅力的です。オーボエの音色もきれいです。第2楽章は三宮正満らのバロック・オーボエと若松夏美のヴィオリーノ・ピッコロの響きが大変きれいです。第3楽章は2本のホルンと3本のオーボエが華やかに響きます。やわらかで素晴らしい響きです。ヴァイオリンのソロもきれいです。第4楽章のメヌエットは程よいテンポです。ホルンがきれいに響きます。第1トリオのオーボエとファゴットは良い響きで大変素晴らしい演奏です。ポロネーズは、やや速めのテンポで弦楽に厚みのある見事な演奏です。第2トリオのホルンとオーボエは程よいテンポで大変良い響きの見事な演奏です。コルノ・ダ・カッチャの独特の響きが素晴らしいです。このメヌエットは素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第2番の第1楽章は島田俊雄がバロック・トランペットを演奏しています。独特な音色のトランペットです。これは素晴らしい演奏です。三宮正満のオーボエやダン・ラウリンのリコーダー、寺神戸亮のヴァイオリンもきれいに響きます。第2楽章はオーボエ、リコーダー、ヴァイオリンが通奏低音と共に優雅で大変きれいな演奏です。第3楽章のトランペットは高音がきれいで見事な演奏です。リコーダーやオーボエ、ヴァイオリンも大変きれいな演奏です。これは名演です。

 ブランデンブルク協奏曲第3番は第1楽章冒頭から程よいテンポの弦楽合奏です。鈴木雅明が引き出す厚みのある響きが素晴らしい。第2楽章のアダージョはチェンバロの長いカデンツァに続いて、ヴァイオリンの短いカデンツァに弦楽が重なってきれいに終わります。第3楽章のアレグロは弦楽の緻密で豪快な演奏が素晴らしいです。大変勢いのある演奏です。これも名演です。

 ブランデンブルク協奏曲第4番のリコーダーはダン・ラウリンと山岡重治による演奏です。第1楽章からリコーダーの美しい和音が響きます。寺神戸亮のヴァイオリンと共に良い響きです。第2楽章のアンダンテは冒頭からリコーダーと弦楽が大変よい響きです。ヴァイオリンも良い響きを出しています。第3楽章の冒頭はフーガですが、この演奏は素晴らしいものになっています。寺神戸亮のヴァイオリン・ソロも見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第5番は菅きよみのフラウト・トラヴェルソ、若松夏美のヴァイオリン、鈴木雅明のチェンバロによる演奏です。第1楽章冒頭の軽やかな弦楽による演奏に続くフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロがきれいな響きです。フラウト・トラヴェルソは木管らしいやわらかな響きがきれいです。また後半の鈴木雅明によるチェンバロ独奏が素晴らしいです。第5番はここが聴きどころです。第2楽章のフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロのトリオ・ソナタがよい響きです。通奏低音は入りません。第3楽章は勢いのある素晴らしい演奏です。フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリンとチェンバロが素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによる、いわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章は程よいテンポの演奏です。ヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で素晴らしい演奏になっています。そして流麗な演奏がまた素晴らしいです。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが優雅に演奏します。美しい響きです。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポで緻密な演奏です。これも素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第5番の第1楽章初版BWV1050aは菅きよみのフラウト・トラヴェルソ、若松夏美のヴァイオリン、鈴木雅明のチェンバロによる演奏です。通常版との大きな違いは後半のチェンバロのカデンツァが短いことです。冒頭の軽やかな弦楽による演奏に続くフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロがきれいな響きです。6人のメンバーによる爽やかな演奏です。


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