J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ルシアン・テヴェ&ジルベール・クルシエ(1950)
CD(Pearl GEMS 0200)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番へ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
4.      〃       第4番ト長調BWV1049
CD2
5.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
7.音楽の捧げものBWV1079(抜粋)

 アレクサンダー・シュナイダー(ヴァイオリン)
             (1、2、4&7)
 ヨーゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)(5)     
 ルシアン・テヴェ(ホルン)(1)
 ジルベール・クルシエ(ホルン)(1)
 マルセル・タビュトー(オーボエ)(1&2)
 ライラ・シュトルフ(オーボエ)(1)
 ジョン・マック(オーボエ)(1)
 モーリス・アラール(ファゴット)(1)
 マルセル・ミュール(S-サックス)(2)
 ジョン・ワマー(フルート)(2、4、5&7)
 ポール・トルトゥリエ(チェロ)(2)
 バーナード・ゴールドバーグ(フルート)(4)
 ユージン・イストミン(ピアノ)(5)
 オレア・ペルネル(ヴァイオリン)(7)
 ミルトン・トマス(ヴィオラ)(7)
 カレン・タートル(ヴィオラ)(7)
 レオポルド・テラスパルスキー(チェロ)(7)
 ダニエル・ザイデンベルク(チェロ)(7)
 ジューン・ローテンバーグ(コントラバス)(7)
 レオポルド・マンズ(ピアノ)(7)
 パブロ・カザルス指揮
   プラド祝祭管弦楽団
   録音1950年6月2〜20日
    プラド・ライヴ

 パブロ・カザルスが1950年にプラド祝祭管弦楽団を指揮したバッハ音楽祭の録音です。
 ブランデンブルク協奏曲第1番は冒頭から、程よいテンポできれいな演奏です。2つのホルンと3本のオーボエが響きます。オーケストラもよい響きです。フランスのホルンの明るさがあります。第2楽章はタビュトーのオーボエの美しい響きとシュナイダーのヴァイオリンの響きが大変きれいです。素晴らしい演奏です。第3楽章は2本のホルンと3本のオーボエがきれいに響きます。ルシアン・テヴェとジルベール・クルシエのホルンがきれいな響きです。ヴァイオリンのソロもきれいです。第4楽章のメヌエットは遅めのテンポ始まります。第1トリオは3本のオーボエとファゴットが素晴らしい響きです。ポロネーズは程よいテンポできれいに演奏しています。弾むようなリズムは鮮やかな演奏です。次のメヌエットも遅めの演奏です。第2トリオのホルンとオーボエは程よいテンポで、2本のホルンは大変素晴らしい演奏です。このメヌエットは見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第2番はトランペットではなく、ソプラノ・サックスが演奏しています。第1楽章からマルセル・ミュールのサックスが大変きれいに響きます。まるでピッコロトランペットのようです。マルセル・タビュトーのオーボエとサックスの対話が素晴らしい。ジョン・ワマーのフルートもきれいに響きます。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、フルートのトリオが大変きれいです。通奏低音もよく響きます。第3楽章ではサックスの高域の音が飛び交いますので華やかです。マルセル・ミュールのソプラノ・サックスは大変素晴らしい演奏です。フルート、ヴァイオリンとオーボエの響きもまたきれいです。これは驚きの演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第3番は程よいテンポの第1楽章は弦楽の美しさがあります。見事な演奏です。第2楽章のアダージョは弦楽のみの短い演奏です。第3楽章のアレグロは緻密な演奏の弦楽が素晴らしいです。これは見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第4番は2本のフルートで演奏しています。第1楽章はヴァイオリンの響きもまたきれいです。ジョン・ワマーとフルーバーナード・ゴールドバーグのフルートの響きは美しいものです。コーダではオーケストラに厚みがあります。第2楽章は冒頭のフルートと弦楽がよい響きです。シュナイダーのヴァイオリンも良い響きを出しています。第3楽章の冒頭はフーガですが、プラド祝祭管弦楽団の演奏はさすがに素晴らしいものになっています。フルートとヴァイオリンのソロも見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第5番は弦楽の爽やかな序奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロが演奏するバッハの代表的な協奏曲のひとつです。ここではピアノが使われています。第1楽章はジョン・ワマーのフルート、ヨーゼフ・シゲティのヴァイオリンとユージン・イストミンのピアノの素晴らしい演奏が聞かれます。チェンバロの演奏でないので、響きが違いますが、シゲティのヴァイオリンが聴けるのが素晴らしいです。後半のピアノ・ソロも見事なものです。このバッハの響きもいいものです。第2楽章はピアノ、フルートとヴァイオリンのトリオ・ソナタがきれいです。シゲティのヴァイオリンが良い響きです。ピアノのメロディもまたきれいなものです。通奏低音は入りません。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。ユージン・イストミンのピアノも見事な演奏です。この5番は素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏ですが、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロは使われていないようです。第1楽章は速めのテンポの演奏です。ヴィオラとチェロが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で厚みのある演奏になっています。勢いがあります。第2楽章はヴィオラとチェロが優雅に演奏します。ここはきれいな響きです。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポでこれも見事な演奏です。カザルスの指揮は見事なものです。

 「音楽の捧げもの」は抜粋版による演奏です。1曲目の3声のリチェルカーレはレオポルド・マンズのピアノによる演奏です。チェンバロとは違いますので、イメージは変わりますが、バッハの美しい響きは変わりません。
 次のトリオ・ソナタはシュナイダーのヴァイオリン、ジョン・ワマーのフルート、レオポルド・テラスパルスキーのチェロ、レオポルド・マンズのピアノによる演奏です。「ラルゴ」はヴァイオリンとフルートによるバッハの名曲のメロディがきれいに演奏されます。チェロの通奏低音も素晴らしい演奏です。「アレグロ」も素晴らしい演奏です。この作品の美しさがあります。「アンダンテ」はフルート、ヴァイオリンとチェロのトリオによる美しい響きが聴かれます。次の「アレグロ」はフルートとヴァイオリンが主体的に演奏しています。
 最後の6声のリチェルカーレは2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ、2つのチェロとコントラバスによる演奏です。「音楽の捧げもの」の主題とフーガになります。まさにバッハの作品らしい響きです。素晴らしい演奏です。


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