モーツァルト/ロンドK371

ペーター・ダム(1988 )
CD(PHILIPS 32CD−898)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
5.ホルンと管弦楽の為のロンド変ホ長調K371
       (エリック・スミス編)

  ペーター・ダム(ホルン)
  サー・ネヴィル・マリナー指揮
   アカデミー室内管弦楽団
    録音 1988年1月5〜8日

 ペーター・ダム2度目のモーツァルト全集はマリナー/アカデミー室内の伴奏です。マリナーお得意のモーツァルトとダムの組み合わせは魅力です。
 ホルン協奏曲第1番は豊かな響きでホール一杯に広がっています。マリナーの伴奏とホルンの明るい響きが素晴らしいモーツァルトになっています。第2楽章はジェスマイアー版を演奏しています。ホルンのレガート演奏が大変きれいに響きます。
 ホルン協奏曲第2番は明るく軽やかなホルンの響きがなんとも言えません。滑らかなホルンはオーケストラと共に極上のモーツァルトを奏でます。第2楽章は軽いビヴラートのかかったホルンが大変美しい演奏です。第3楽章:ロンドは軽やかなホルンで短いカデンツァが入ります。ヴァイオリンの「キャッ、キャッ、キャッ」の音が鮮やかでこの楽章の面白さがあります。
 ホルン協奏曲第3番は木管楽器にクラリネットとファゴットを使うので他の3曲とは響きが違います。また転調のうまさはモーツァルトらしい作品です。ダムのホルンは豊かな響き、レガートの巧みなことメリハリのある素晴らしい演奏です。カデンツァは高音から低音まで使う長大なものです。74年のものよりも豊かな表現が聴かれます。第2楽章のロマンスは朗々と流れるホルンが大変きれいです。第3楽章のアレグロは軽快なホルンが流れます。さわやかなタンギングはダムならではのものです。
 ホルン協奏曲第4番は1974年のダム監修のオリジナルでなく通常のブライトコップ版での演奏です。豊かな響きのホルンで聴くこの4番はまたいいものです。オーケストラに厚みがあるこの作品はモーツァルトのホルン協奏曲を聴く醍醐味があります。カデンツァがまた長大で素晴らしいものです。第2楽章のロマンスはやわらかな響きのホルンが朗々と流れます。第3楽章のロンドは軽やかな演奏です。大変きれいな響きです。なおこの演奏ではフレーズの繰り返しがあります。またコーダ前に短いカデンツァが入ります。
 ロンドはエリック・スミスの編曲で演奏しています。ダムのホルンは明るく大変きれいです。なおこの演奏でも提示部のあとに短いカデンツァを入れています。展開部のオーケストラがスミス版では注目したいところです。楽しいロンドになっています。カデンツァは1974年のものとほとんど同じです。(CDは西ドイツ盤)


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