その他のホルン作品

ギュンター・シューラー/ホルン協奏曲第1番
CD(GM 2044CD)

ギュンター・シューラー/協奏曲集
 1.ホルン協奏曲第1番(1990)
 2.ピアノ協奏曲
 3.ファゴット協奏曲
  リチャード・トッド(ホルン)(1)
  ジャンヌ・ローゼンブラム・キルステイン(ピアノ)(2)
  ケネス・パスマニック(ファゴット)(3)
  ギュンター・シューラー指揮
   ザールブリュッケン放送交響楽団(1&3)
  マックス・ルドルフ指揮
   シンシナティ交響楽団(2)
  録音 1992年2月(1&3)
       1962年10月(2) 
   
  ギュンター・シューラーはシンシナティ交響楽団のホルン奏者でしたが、指揮と作曲でも知られます。ホルン協奏曲第1番が完成したのは1990年ですが、第2楽章の「ノクターン」は1942年に作曲されていました。半世紀近い年月を経て完成したホルン協奏曲第1番は近代のホルン協奏曲として重要な作品になります。第1楽章「アンダンテ」はホルンの朗々とした主題には雄大さがあります。オーケストラは映画音楽風です。第2楽章「ノクターン」は第1楽章よりも現代的な響きになっていますが、第1楽章に出てくる主題に良く似た主題があります。このノクターンは穏やかさと難しさを感じます。しかしながら美しい響きがあります。第3楽章「スケルツォ」はホルンのロンド楽章ともいえる動きの大きい楽章です。細かいフレーズが続きますがオーケストラは大編成で、時折大音響になりますが作品としては聞きやすいホルン協奏曲です。
  ピアノ協奏曲は1962年に初演されていますが、初演者はこのアルバムと同じキルステインでした。リゲティを思わせる不協和音は随所に流れます。演奏は困難を極めると思われます。第3楽章「クワジ・ウナ・ソナタ」はオーケストラの不協和音とピアノの跳躍的リズムの交錯が聞き所でしょう。
  ファゴット協奏曲はパスマニックのファゴット、ロストロポーヴィチ指揮ワシントン・ナショナル交響楽団と1985年に初演されています。5つの楽章で構成され、第1楽章「バラード」は穏やかな主題に始まりファゴットの音域を縦横に生かしたものです。オーケストラは時折不協和音が入ります。第2楽章「子守唄」は緩やかな楽章で静かに歌いますが、ロングトーンが多いです。バックは弦楽だけで演奏されます。第3楽章「ブルレスケ」はオーケストラの不協和音に乗ったファゴットの細かいフレーズが面白いです。弦楽の刻みも聞き所でしょう。第4楽章「ブルース」はアメリカの作品らしい歌になっています。ファゴットの歌うブルース調の主題が大変きれいです。第5楽章「バディネリ」はバッハの「バディネリ」を思わせますが全く関連の無い跳躍する主題は難しいものでモーツァルトやウェーバーの協奏曲のように緊張感があります。


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