ベートーヴェン/七重奏曲

ギュンター・ケップ(1963)
CD(DGG 439 852-2)3枚組

ベートーヴェン/管楽器のための室内楽作品集
CD1
1.管楽器のための六重奏曲変ホ長調Op71
  カール・ライスター(クラリネット)
  ペーター・ガイスラー(クラリネット)
  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  マンフレート・クリエール(ホルン)
  ギュンター・ピ−スク(ファゴット)
  ヘニング・トローク(ファゴット)
   録音 1969年2月
2.ピアノ、フルートとファゴットのための
          三重奏曲ト長調WoO37
  アロイス・コンタルスキー(ピアノ)
  カール=ハインツ・ツェラー(フルート)
  クラウス・トゥーネマン(ファゴット)
   録音 1969年6月
3.フルート、ヴァイオリンとヴィオラのための
         セレナード ニ長調Op25
  カール=ハインツ・ツェラー(フルート)
  トマス・ブランディス(ヴァイオリン)
  ジークベルト・ユーバーシェール(ヴィオラ)
   録音 1969年6月
CD2
1.六重奏曲変ホ長調Op81b
  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  マンフレート・クリエール(ホルン)
  ドロルツ四重奏団
  録音 1969年4月
2.ホルン・ソナタ ヘ長調Op17
  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  イェルク・デムス(ピアノ)
  録音 1969年5月
3.管楽器のための八重奏曲変ホ長調Op103
  ローター・コッホ(オーボエ)
  ゲルハルト・シュテンプニク(オーボエ)
  カール・ライスター(クラリネット)
  ペーター・ガイスラー(クラリネット)
  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  マンフレート・クリエール(ホルン)
  ギュンター・ピ−スク(ファゴット)
  ヘニング・トローク(ファゴット)
   録音 1969年2月
CD3
1.ピアノと管楽の為の五重奏曲変ホ長調Op16
  イェルク・デムス(ピアノ)
  ローター・コッホ(オーボエ)
  カール・ライスター(クラリネット)
  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  ギュンター・ピ−スク(ファゴット)
   録音 1969年5月
2.七重奏曲変ホ長調Op20
  ベルリン・フィルハーモニー八重奏団
  アルフレッド・マレチェク(ヴァオリン)
  ディートリヒ・ゲルハルト(ヴィオラ)
  ヘルベルト・シュテール(クラリネット)
  ギュンター・ケップ(ホルン)
  マンフレート・ブラウン(ファゴット)
  ハインリヒ・マヨウスキー(チェロ)
  ライナー・ツェペリッツ(コントラバス)
   録音 1963年11月

  このアルバムはベートーヴェンの「管楽器のための室内楽作品集」です。録音はベートーヴェンの生誕200年を記念して録音されたものでした。ベルリン・フィルのトップアーティストによるアンサンブルは小さなオーケストラといっても過言ではありません。
 CD1の「管楽器のための六重奏曲変ホ長調Op71」は作品番号は71でも作曲は1796年26歳の時で初期の作品です。しかしながらその作風はベートーヴェンらしさあふれるものでメロディの豊かさ、和音の美しさ、楽器の使い方など中期の作品と比肩しうる名作です。ライスター、ザイフェルト、ピースクなどの完璧なアンサンブルが聴かれます。
 「ピアノ、フルートとファゴットのための三重奏曲」は1786年16歳の時の作品です。3つの楽章からなる作品ですが、ピアノとフルートのユニゾーン、ピアノとファゴットのユニゾーンなどまだベートーヴェンらしさは感じられません。それでもフルートの美しいメロディなど愛らしい作品です。
 「フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナードOp25」は1801年30歳の時の作品。特徴的な主題で始まる第1楽章は一度聞いたら強烈な印象を受けることでしょう。フルート、ヴァイオリンとヴィオラという珍しい組み合わせですが、この楽譜をフルートとピアノのために編曲された楽譜も出版されています。
 CD2の「六重奏曲変ホ長調Op81b」は2つのホルンと弦楽四重奏のための曲です。これは主役が2つのホルンです。ザイフェルトとクリエールはこの曲を前年の1968年にベルリン・フィル八重奏団と録音していましたが、この演奏でもテンポが速く、ベルリン・フィルのホルンセクションの腕の見せ所です。第3楽章のロンドはクリエールの速いフィンガリングが見事です。カデンツァの挿入はありません。
 「ホルン・ソナタ」はザイフェルトのホルンですが、同じころにガリングのピアノでも録音していました。デムスとの共演は第1楽章がやや遅めのテンポでどっしり構えた演奏で深みのあるホルンが魅力です。音色に硬さがみられませんのでレガートのきれいな演奏になっています。第3楽章のなめらかな演奏も見事です。
 「管楽器のための八重奏曲変ホ長調」は1792年22歳の初期の作品でマクシミリアン選帝侯の食卓の音楽として書かれています。4つの楽章からなる魅力的な音楽です。管楽器の響きが大変きれいです。ベルリン・フィルのコッホ、ライスター、ザイフェルト、ピースクなどの完璧なアンサンブルが聴かれます。
 CD3の「ピアノと管楽の為の五重奏曲変ホ長調」は1796年の作、ベルリン・フィルの首席奏者たちとデムスのピアノによる華麗な響きの演奏が繰り広げられています。まさに贅沢なメンバーによる演奏です。なお、ほぼ同じメンバーとアルフォンス・コンタルスキーのピアノで1981年にも録音しています。
 「七重奏曲変ホ長調」は1800年の作でウィーンで初演され、マリア・テレジアに献呈された名曲です。演奏はベルリン・フィルハーモニー八重奏団です。第1楽章から緊張感のある演奏になっています。クラリネットとファゴットの溶け合う響きも素晴らしく、展開部のホルン・ソロもきれいです。さすがにベルリン・フィルの首席たちです。第2楽章の穏やかな響き、中間部のホルンのソロもきれいです。第3楽章の快活な演奏とトリオの明るいホルンのソロも聞きものです。第4楽章の主題と変奏曲はクラリネットとファゴットで主題が歌われ、感動的な演奏になっています。ホルンのソロは穏やかな響きです。第5楽章のスケルツォはギュンター・ケップのホルンで始まります。やや抑え気味ながらも存在感のあるホルンです。第6楽章は序奏でホルンが哀愁的な主題を吹いています。ヴァイオリンが続きます。プレストからは息の合った見事なアンサンブルを聞かせます。ヴァイオリンが主題を提示します。ホルンの響きが印象的です。後半にヴァイオリンのカデンツァが入ります。


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