ベートーヴェン/七重奏曲

クリストフ・ブラント=リンデンバウム(ナチュラルホルン)(1977)
CD(harmonia mundi BVCD−8829/30)

1.ベートーヴェン/七重奏曲変ホ長調Op20
2.シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D80
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
   ファゴットのための

  コレギウム・アウレウム合奏団員
  ハンス・ダインツァー(クラリネット)(1&2)
  ギュンター・プフィッツェンマイアー(ファゴット)(1)
  ヴァルター・シュティストゥナー(ファゴット)(2)
クリストフ・ブラント=リンデンバウム(ナチュラルホルン)(1)
  ヴァルター・レックスット(ナチュラルホルン)(2)
  フランツヨーゼフ・マイアー(ヴァイオリン)(1&2)
  ゲルハルト・ペータース(ヴァイオリン)(2)
  ハインツ=オットー・グラーフ(ヴィオラ)(1)
  カールハインツ・シュテープ(ヴィオラ)(2)
  ルドルフ・マンダルカ(チェロ)(1&2)
  ルドルフ・シュレーゲル(コントラバス)(1&2)
  録音 1977年5月(1)
      1978年5月15日(2)
       フッガー城・糸杉の間

 コレギウム・アウレウム合奏団員の演奏でオリジナル楽器によるベートーヴェンの七重奏曲とシューベルトの八重奏曲です。
 ベートーヴェンの七重奏曲変ホ長調はセプテットの代表的な作品です。ヴァイオリンとクラリネットがリードするこの曲ですが古楽器の音色は一味違います。
第1楽章はそれぞれの楽器が存在感のある演奏が聞かれます。中でもヴィオラの存在感は大きいです。糸杉の間の響きの良さは格別です。ホルンはこの楽章ではあまり目立ちませんがソロはよい響きです。第2楽章:アダージョ・カンタービレはクラリネットとヴァイオリンの美しい響きに耳をうばわれます。ファゴットの響きも素晴らしい。第3楽章:メヌエットの踊りたくなるようなテンポ運びで、クラリネットとホルンの響きもたまりません。ホルンのストップ音が聞きものです。第4楽章の主題と変奏曲は淡々とすすむようですがこの息の合った演奏は見事なものです。変奏に入ってチェロとヴィオラのうまさも際立っています。クラリネットとファゴットそしてホルンの変奏の響きのよさも聞きものです。第5楽章のスケルツォは冒頭のホルンが象徴的です。トリオの弦楽器の美しさも絶品。第6楽章は序奏でホルンが哀愁的な主題を吹きますがナチュラルホルンで吹くとストップ音が入って独特の響きになるところは聞きどころでしょう。プレストからは実に素晴らしいアンサンブルが聞かれます。オリジナル楽器のうまさが光ります。マイヤーのヴァイオリンによるカデンツァも素晴らしい。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。第1楽章ではアダージョに続くアレグロの中で吹かれる流れるようなメロディはクラリネットの主題に続くもので流れるような主題が美しいです。速いテンポですがレックスットのホルンのハンドさばきの素晴らしさに驚きます。この長い楽章をそれぞれの楽器が調和のとれた演奏でときには前面にでて存在感を示しています。コーダはホルンで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。トリオがきれいです。「ロザムンデ」を思わせるような主題と響きが流れてきます。第4楽章:アンダンテはは主題と変奏曲、「ロザムンデ」の間奏曲を思わせるようなメロディーが出てきます。ホルンにも美しい主題が現れます。第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも白眉といえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。オリジナル楽器の響きは何度聞いても良いものです。第6楽章・アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。ストーリーを感じさせる作品で、全6楽章小さい編成ながらもオーケストラを聞いているかのようです。演奏時間55分38秒。


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