モーツァルト/ロンドK371

ロジャー・モンゴメリー(2012)
CD(signum SIGCD345)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
2.フラグメント ホ長調K494a(モンゴメリー編)
3.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
4.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
5.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
6.ホルン協奏曲変ホ長調K370b&371
    (スティーヴン・ロバーツ再構築版)

  ロジャー・モンゴメリー(ナチュラルホルン)
  マーガレット・フォートレス指揮
  エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団
    録音 2012年10月25日ライヴ

 ロジャー・モンゴメリーはイギリスのホルン奏者でギルドホール音楽院でハルステッドに師事。エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団とロイヤル・オペラハウス管弦楽団の首席奏者です。ライヴ演奏でこの全曲を録音するとは驚きです。
  ホルン協奏曲第2番はモンゴメリーのホルンがややおとなしく始まりますますが、徐々に熱気を帯びた演奏になります。ゲシュトップはこもった音ですが、弦楽器とよく調和のとれた響きで自然な音に感じます。第3楽章のロンドは低音から高音までなめらかで中間部のゲシュトップの連続はヴァイオリンが「キャッキャッ」と笑うようですが、それに負けない素晴らしい響きです。
  フラグメント ホ長調は後半のオーケストラ編曲を途中までモンゴメリー自身が施しています。そのあとはホルン・ソロです。
  ホルン協奏曲第4番はオーケストラの厚い響きで始まります。ホルンは力強くそしてきれいなレガートで見事な演奏です。ゲシュトップは自然な響きでナチュラルホルンの音を十分に楽しませてくれます。長いカデンツァは素晴らしいもので自由自在にホルンを吹きこなしています。第3楽章のロンドはモダンホルンのように吹きまくるとんでもない演奏です。音程の正確さ、タンギングのうまさなど申し分ありません。短いカデンツァが挿入されます。
  ホルン協奏曲第3番はオーケストラにクラリネットとファゴットが入りますので響きの違いがあります。ホルンの音がとりわけ目立ちますが、なめらかできれいなレガートが素晴らしいモーツァルトになっています。展開部のゲシュトップ音の連続もまたきれいです。カデンツァは凝ったもので見事なものです。第2楽章:ロマンツァはやや速めのテンポで演奏しています。第3楽章:ロンドは鮮やかな演奏で舌をまいてしまいます。速いテンポで正確な音程は素晴らしくまるでバルヴが付いているような演奏ですです。最後の細かいフレーズを正確に吹いているのには驚きました。
  ホルン協奏曲第1番はロンド楽章をジェスマイアー版とスティーヴン・ロバーツの完成版を続けて演奏しています。第1楽章の演奏はホルンもさることながらオーケストラの元気な演奏にも注目です。ロンドはジェスマイアー版の滑らかな演奏も素晴らしいですが、ロバーツの完成版は他の編曲との若干の違いがありますのでそこは注目です。ホルンは完璧で、ライヴでここまで吹かれるとは驚きです。短いカデンツァが挿入されます。
  ホルン協奏曲変ホ長調K370b&371は第1楽章にあたるK370bとロンドK371を続けて演奏しています。K370bはナチュラルホルンではR.J.ケリー以来の録音ですが、この超難曲をナチュラルホルンで吹くとは凄いホルン奏者です。なお他とはかなり違いがありカデンツァも挿入されていません。K371のロンドはロバーツ再構築版で提示部の部分があります。この演奏ではオーケストラの部分も聞きものですがモンゴメリーのホルンのハンドさばきの鮮やかなことも素晴らしいので聞きほれてしまいます。カデンツァは短いですがモンゴメリーのトリルが大変きれいなことに感服しました。
  このアルバムはナチュラルホルンの完璧な演奏を聞かせてくれるだけでなく全8曲を録音したもので絶賛したいと思います。


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