モーツァルト/フラグメントホ長調K494a

ニコ・デ・マルキ(2005)
CD(JPH Productions JPH015)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ロンド変ホ長調K371(マルキ編)
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
4.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
5.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
6.フラグメント ホ長調K494a

  ニコ・デ・マルキ(ホルン)
  ジャン=ピエール・エック指揮
  リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2005年6月

 ニコ・デ・マルキはルクセンブルク出身のホルン奏者、10歳でホルンを吹き始め、ベルギーのリエージュ王立音楽院でフランシス・オーヴァルに師事しました。
 ロンド変ホ長調はニコ・デ・マルキのオーケストレーションによる演奏です。聴きなれないオーケストラの響きが新鮮です。演奏は速めのテンポで軽快な演奏です。レガートの使い分けが面白いです。テクニックは抜群です。カデンツァはハイトーンから低音まで使う見事な演奏です。
 ホルン協奏曲第2番は第1楽章の軽やかな演奏、装飾音の吹き方が面白いです。展開部の歌い方が語り掛けるように聞こえます。第2楽章は温かい響きのホルンで大変きれいな演奏です。第3楽章のロンドは速めのテンポで軽快に歌います。提示部あとにカデンツァがあります。このロンドはテンポが速いのでヴァイオリンの「キャッキャッキャッ」が大変そうです。面白い演奏です。
 ホルン協奏曲第4番は第1楽章のメリハリを付けた演奏が素晴らしいです。新しいモーツァルトスタイルです。カデンツァはブレイン風に入ってオリジナルの演奏、最後はタックウェル風に終わっています。第2楽章のロマンツェはマルキらしい吹き方によるロマンスです。小節の頭を強く吹くのが面白いです。第3楽章のロンドはこれも速めのテンポで演奏しています。テクニックの素晴らしさに驚きます。ここでもメリハリをつけた演奏です。コーダ前のカデンツァも見事な演奏です。
 ホルン協奏曲第3番は主題の歌い方がユニークです。これは指揮のエックの解釈のようでオーケストラも同じ歌い方です。展開部もメリハリをつけた演奏です。そしてレガートの使い分けで楽しそうなモーツァルトになっています。カデンツァはオリジナルで装飾音を使うユニークなものです。素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンツェはユニークな演奏で、音を短く吹く独特な解釈です。流麗さの逆をいくものです。第3楽章のアレグロも速めのテンポで演奏しています。ここでもメリハリをつけた演奏があります。見事な演奏です。コーダの素早いフレーズも素晴らしいです。
 ホルン協奏曲第1番はレガートを使いながらメリハリをつけた演奏になっています。第2楽章はジェスマイアーの編曲によります。ここは流麗なホルンの演奏を聴かせてくれます。
 フラグメント ホ長調は編曲なしのオリジナルで演奏しています。マルキのホルンは流麗な演奏です。オーケストラが消えてホルンのソロだけになると指揮者が立ち去る足音が録音された趣向が面白いですがそこはジョークなんでしょう。それにしても面白いアルバムです。モーツァルトの演奏に一石を投じたものとして受け止めたいです。


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