ケクラン/ホルン作品

ホルン・ソナタ/豊田 実加(2016)
CD(fontec FOCD9755)

ル・リアン/フランスのホルン作品集
1.ギヨーム・バレイ/森の番人の歌
2.ジョルジュ・バルボトゥ/セゾン
3.シャルル・ケクラン/ホルン・ソナタOp70
4.ロベール・プラネル/カプリース
5.ジャック・イベール/「物語」より
   第2曲「小さな白いろば」
   第4曲「おてんば娘」
   第6曲「廃墟の宮殿」
   第7曲「机の下で」
   第8曲「水晶の籠」
   第10曲「バルキス女王の行列」
    (大橋晃一 編曲)

  豊田 実加(ホルン)
  大野 真由子(ピアノ)
  録音 2016年8月29〜31日
   かながわアートホール

 豊田実加は神奈川フィルの首席ホルン奏者です。優れた腕の持ち主でホルンの音色もまた魅力的です。フランスのホルン作品を演奏しています。
 ギヨーム・バレイ(1871〜1943)はフランスの作曲家コルネット奏者でした。シャンソン・ドゥ・フォレスティエ(森の番人の歌)は1925年に書かれています。森の歌といえます。魅力的な作品です。 
 ジョルジュ・バルボトゥ(1924〜2006)はフランスを代表するホルン奏者でした。セゾン(四季)は1983年に書かれています。「秋」「冬」「春」「夏」の4つの小品で構成されています。快活で楽しそうな「秋」、寒さと雪の風景が見えてくる「冬」輝きと希望に満ちた「春」、暑さと気だるさを表現したような「夏」と豊田実加のホルンは実に多彩な表現力を持っており素晴らしい演奏です。大野のピアノも秀悦です。
 シャルル・ケクラン(1867〜1950)のホルン・ソナタは1925年の作品です。バルボトゥが初めて録音していました。豊田のホルンは透明感のある響きでフランス風ではありませんが、これもまた印象的な響きです。第1楽章、第2楽章と美しいホルンで歌います。第3楽章の跳躍的な主題は良い演奏です。ゲシュトップも使うこの作品は現代的でもありロマンティックな作品です。もっと演奏されてよい作品です。
 ロベール・プラネル(1908〜1994)の「カプリース」は1958年にパリ音楽院の卒業試験の課題曲として書かれています。前半の穏やかな部分と後半の快活な部分があり、ホルンのテクニックが試されます。
 ジャック・イベール(1890〜1962)の「物語」は10曲からなるピアノ作品です。この組曲から6曲を選んで大橋晃一がホルンとピアノのために編曲したものです。第2曲「小さな白いろば」は動き回る様子が歌われます。第4曲「おてんば娘」は「有頂天な娘」とも訳されますが曲そのものは穏やかです。第6曲「廃墟の宮殿」は静寂の雰囲気、第7曲「机の下で」は明るく動き回るような曲です。第8曲「水晶の籠」は装飾音と細かいフレーズが特徴。第10曲「バルキス女王の行列」はこのアルバムの最後を飾る魅力的な小品です。
 豊田実加は若いホルン奏者ですがこれからが楽しみな演奏家です。


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