アンサンブル
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CD(fontec FOCD20115)
1.バスラ―/アセンション
2.バッハ/トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
(ターナー編)
3.ヘンデル/「水上の音楽」より6つの小品
(マーティネット編)
4.ケルコリアン/ファンファーレとフーガ
5.クロル/タウゲニヒツ組曲
6.メンデルスゾーン/プレスト〜無言歌第45番
7.ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より
エルザの大聖堂への行列(ハンソン編)
8.ワーグナー/パルジファル・ファンタジー
(フランスマン編)
9.モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプスK618
(マーティネット編)
NHK交響楽団ホルンアンサンブル
今井 仁志(ホルン)
福川 伸陽(ホルン)
木川 博史(ホルン)
勝俣 泰 (ホルン)
石山 直城(ホルン)
野見山 和子(ホルン)
録音 2018年5月6〜8日
稲城市立iプラザホール
NHK交響楽団の6名のホルンメンバーによるホルンアンサンブルの録音です。当代きってのホルン奏者たちによる演奏が聴かれます。
ポール・バスラ―(1963〜)の「アセンション〜キリストの昇天」は1990年に6本のホルンのために書かれた作品。冒頭を飾るにふさわしい曲でホルンアンサンブルの素晴らしさが味わえます。
バッハのオルガン作品の名作「トッカータとフーガ ニ短調」はケリー・ターナーがホルンアンサンブルのために編曲したものです。難しいフレーズも2本のホルンに分けるなど見事なアレンジでこの名曲をホルンで演奏しています。オルガンもいいですが低音から高音まで使うホルンの演奏もまたいいものです。名演です。
ヘンデルの組曲「水上の音楽」から6つの小品はマーティネットがホルンアンサンブルのために編曲したものです。第1曲「アレグロ」はハーティ編曲の冒頭を飾るこの作品の代名詞のような小品です。ホルン吹きなら必ず吹いてみたくなります。第2曲「ヴィヴァーチェ」はホルンのエコー(こだま)を模したフレーズが特徴の小品。第3曲「ブーレ〜プレスト」はホルンで演奏するとこれまた良いものです。さすがにN響メンバーは素晴らしい演奏を聴かせてくれます。第4曲「ホーンパイプ」もまた「同様です。第5曲「メヌエット」は2本のホルンで始まる名曲です。弦楽のパートもホルンで演奏する贅沢なアレンジは何度聴いてもよいものです。中間部の弦楽の部分もホルンで聴くといやされます。第6曲「ア・ラ・ホーンパイプ」は「アレグロ・デチーソ」の最も華やかな曲です。トランペットのパートもホルンで吹く楽しい小品です。素晴らしい演奏です。
グレゴリー・ケルコリアン(1942〜)はアメリカのホルン奏者。「ファンファーレとフーガ」は所属するホルンクラブのために書かれています。ホルンアンサンブルの厚い響きが聴きものです。
ベルンハルト・クロル(1920〜2013)はドイツのホルン奏者でホルン作品をたくさん作曲しました。「タウゲニヒツ組曲」は5つの小品による組曲でクロルがホルン六重奏のために書いた唯一の作品です。モーツァルテウム音楽院ホルンアンサンブルの録音がありますが、NHK交響楽団ホルンアンサンブルの安定感は申し分なく、アイヒェンドルフの詩による5つの小品が物語風に聞こえてきます。第5曲は素晴らしい響きです。
メンデルスゾーンの「プレスト」は無言歌第45番「タランテラ」をホルンアンサンブルで演奏しています。N響メンバーの凄技炸裂の演奏です。
ワーグナーの歌劇「ローエングリン」より「エルザの大聖堂への行列」は名曲です。これをウェズリー・ハンソンがホルンアンサンブルのために編曲したものです。厳粛な婚礼の行列を演奏したものです。ホルンアンサンブルの素晴らしさを感じます。
ワーグナーの「パルジファル・ファンタジー」はホルガー・フランスマンがホルンアンサンブルのために編曲したもので「パルジファル」の名場面からの音楽をつないだものです。「聖金曜日の奇跡」も含まれます。ホルンが活躍する「パルジファル」の音楽をまとめたこの幻想曲は20分の大作です。贅沢な響きが聴かれます。
最後の作品モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は讃美歌でオルガン付の合唱曲です。これをマーティネットがホルンアンサンブルのために編曲しました。厳かな歌がホルンで歌われます。ホルンアンサンブルの最も美しい響きはこのような作品でこそ生きてきます。モーツァルトは良い響きを書いてくれました。
それにしてもN響のホルンメンバーは最強と言えます。絶賛したいと思います。 |
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