シューベルト/八重奏曲

ヨーゼフ・シュテルリンガー(1995)
CD(LIVE NOTES WWCC-7292)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ザルツブルク八重奏団
 マルクス・トマジ(ヴァイオリン)
 ヨハネス・ビロ(ヴァイオリン)
 ヘルベルト・リンツベルガー(ヴィオラ)
 マルクス・プシェー(チェロ)
 ブリタ・ビュルグシュベンツナー(コントラバス)
 ラインハルト・グッチー(クラリネット)
 ヨーゼフ・シュテルリンガー(ホルン)
 エドゥアルト・ヴィンマー(ファゴット)
 録音 1995年12月15&16日
 広島県・沼隈サンパル・ホール

 ザルツブルク八重奏団が来日の折、広島でセッション録音を行ったシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。さすがにオーストリアのアンサンブルです。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。クラリネット、ヴァイオリンとチェロの響きが素晴らしいです。続くシュテルリンガーのホルンはレガートのきれいな演奏です。さすがにモーツァルテウムのホルンです。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンの素晴らしいソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気が大変きれいです。ヴァイオリンとチェロがよく響きます。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話が大変きれいです。後半も良い響きを出しています。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。トマジのリードするアンサンブルは楽しそうに演奏しています。クラリネットの哀愁的な響きが何とも言えません。ホルンとファゴットもよく響きます。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。ファゴットとホルンの絡みもきれいです。シュテルリンガーの吹くホルンの変奏も大変よい響きです。続くチェロの変奏もまた聞きものです。後半もよい演奏です。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。コーダのホルンのフレーズがきれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルでまとめています。
演奏時間62分01秒。


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