ニールセンのホルン作品

カント・セリオーソ/デニース・トライオン(2015)
CD(BRIDGE BRIDGE9455)

ソー・ロウ〜近現代ホルン・リサイタル
1.ノイリンク/バガテル
2.ピーター・アスキン/闇への扉
3.ティム・マーティン/ラメント〜ソロ・ホルン
4.ブレット・ミラー/狩りの歌
5.パウェレック/取返しのつかない分裂
6.ダンテ・エンケ/タンギート
7.カール・ニールセン/カント・セリオーソ
8.アンドレア・クリアフィールド/リバー・メロス
9.作者不詳/グンミ・ポルカ

  デニース・トライオン(ホルン)
  ジュリー・ヒロミ・ニシムラ(ピアノ)(1、2、4〜9)
  録音2015年1月9〜12日

 フィラデルフィア管弦楽団の第4ホルン奏者デニース・トライオンによるホルン作品集です。彼女はアメリカの女流ホルン奏者。ボルティモア交響楽団、デトロイト交響楽団を歴任、2009年よりフィラデルフィア管弦楽団に第4ホルン奏者として在籍しています。 このアルバムには「ソー・ロウ」すなわち低音ホルンのために書かれた作品が多数収録されています。
 ヘルマン・ノイリンク(1897〜1967)のバガテルは低音ホルンのための作品として最も有名な曲といってよいでしょう。オーディションによく使われるようです。トライオンは第4ホルン奏者で低音は日常のものですからこの演奏は歯切れよさと鮮やかなタンギングといい申し分ありません。
 ピーター・アスキン(1971〜)はアメリカの作曲家で指揮者。「闇への扉」はトライオンとニシムラのために書かれたホルンとピアノのための作品です。ブックレットのデザインになっています。低音が多く使われたユニークな作品で演奏に10分近くかかります。
 ティム・マーティン(1988〜)はアメリカのホルン奏者で作曲家で指揮者です。「ラメント(哀歌)」はホルン四重奏がオリジナルですが、ソロホルンのために書き直した版をここでは吹いています。嘆きの歌をホルンで表現しています。
 ブレット・ミラー(1976〜)もアメリカのホルン奏者で作曲家。「狩りの歌」は3つの小品で構成されています。第1曲「カラス」第2曲「フクロウ」第3曲「ハヤブサ」となっています。
 ネイサン・パウェレック(1968〜)はアメリカのホルン奏者です。「取返しのつかない分裂」は低音が多いホルン作品で華やかな響きではありませんが11分もの演奏時間を要する大作です。
 ダンテ・エンケ(1964〜)はペルーの作曲家です。「タンギート」はこれも低音ホルンのための作品です。他のホルン作品ではこれほどの低音連続はありません。低音ホルンのエチュードといって良いでしょう。
 カール・ニールセン(1865〜1931)はデンマークの作曲家です。「カント・セリオーソ(厳粛な歌)」は唯一のホルン作品です。低音から高音まで使う名曲です。冒頭の低音が重厚です。
 アンドレア・クリアフィールド(1960〜)はアメリカの女流作曲家。「リバー・メロス」はこれも低音をふんだんに使う作品です。難しいテクニックは使いません。
 最後の「グンミ・ポルカ」は作者不詳の作品で分散和音による小品です。低音が強烈だけに高音が生きています。
 このアルバムは下吹きホルンのための作品が集められた珍しいものです。演奏は抜群のうまさがあります。


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