シューベルト/八重奏曲

コンソート・オブ・ロンドン(1989)
CD(Collins 13752)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ロバート・ヘイドン・クラーク指揮
 コンソート・オブ・ロンドン
  録音 1989年8月
  ヘンリー・ウッドホール

 イギリスの室内アンサンブル、コンソート:オブ・ロンドンのシューベルトの八重奏曲です。ソリストの明記はありません。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは調和のとれたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くホルンのソロは滑らかな演奏で、イギリスのホルンらしい響きを出しています。展開部も勢いがあり緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロがゆったりと高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ヴァイオリンもきれいです。管楽器のユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。ファゴットもよい響きです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。コンソート・オブ・ロンドンは軽快な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。ホルンの第3変奏は深みがあり滑らかなでよい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏も良い演奏です。後半も見事な演奏です。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ホルンの滑らかな演奏が素晴らしい。トリオのファゴットの響きもきれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なフィナーレです。ロバート・ヘイドン・クラークの統率力で素晴らしいアンサンブルになりました。
演奏時間60分58秒。


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