ヤナーチェクのホルン作品

組曲「青春」&コンチェルティーノ/ウィル・サンダース(1994)
CD(CAPRICCIO 10 576)

リノス・アンサンブル/室内楽作品集
1.プロコフィエフ/ヘブライの主題による序曲Op34
2.  〃   /五重奏曲ト短調Op39
3.ヤナーチェク/組曲「青春」
4.   〃   /コンチェルティーノ

 リノス・アンサンブル
 ヴィンフリート・ラーデマッハー(ヴァイオリン)
             (1、2&4)
 ゲッツ・ハルトマン(ヴァイオリン)(1&4)
 マティーアス・ブッフホルツ(ヴィオラ)(1、2&4)
 マリオ・ブラウマー(チェロ)(1)
 イェルク・リノヴィツキ(コントラバス)(2)
 フィリップ・ブークリー(フルート)(3)
 クラウス・ベッカー(オーボエ)(2&3)
 ライナー・ミュラー=ヴァン・レクム(クラリネット)
                       (1〜4)
 ウィル・サンダース(ホルン)(3&4)
 エバーハルト・マーシャル(ファゴット)(3&4)
 アルベルト・オスターハンマー(バス・クラリネット)(3)
 コンスタンツェ・アイクホルスト(ピアノ)(1&4)
 録音 1994年10月19〜21日

 ドイツのリノス・アンサンブルによるプロコフィエフとヤナーチェクの室内楽作品集です。
 プロコフィエフの「ヘブライの主題による序曲」はクラリネット、弦楽四重奏とピアノのための作品です。クラリネットが歌う主題がきれいです。ピアノが厚い響きを出しますが、チェロの美しい響きなど印象的な作品です。
 プロコフィエフの五重奏曲ト短調はオーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとコントラバスのための作品です。6つの楽章で構成され、第1楽章「主題と変奏曲」からプロコフィエフのバレエ音楽風の主題がオーボエとクラリネットで流れてきます。コントラバスが入ると響きに深みがあります。第2楽章「アンダンテ・エネルジコ」はコントラバスで始まります。第3楽章「アレグロ・ソステヌート、マ・コン・ブリオ」は3つの弦楽器が弦楽合奏のような響きになっています。木管が埋もれてしまうほどです。第4楽章「アダージョ・ペサンテ」は哀歌のような音楽です。第5楽章「アレグロ・プレシピタート、マ・ノン・トロッポ・プレスト」は元気が出るような勢いのある音楽、第6楽章「アンダンティーノ」は物語風で華やかさも感じられます。素晴らしい作品です。
 組曲「青春」は木管五重奏にバス・クラリネットが加わった六重奏です。4つの楽章で構成されています。第1楽章のアレグロは木管楽器が元気に行進するような勢いです。ホルンが応援します。サンダースの吹くホルンは明るく力強いです。大変素晴らしい響きです。第2楽章のアンダンテ・ソステヌートは哀し気な足取りで歩くような音楽です。穏やかなホルンやファゴットも大変きれいです。「青春」にはいろいろな道があります。第3楽章のヴィヴァーチェは元気そのものです。オーボエやフルートの元気な姿をホルンやファゴットが追いかけます。フィナーレのアレグロ・アニマートはフルートとクラリネットが主題を提示すると他の管楽器がにぎやかに応答します。ホルンの明るい響きがきれいです。この「青春時代」を思わせる音楽は楽しいです。演奏も楽しそうです。
 ヤナーチェクの「コンチェルティーノ」は2つのヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、ホルン、ファゴットとピアノのための作品です。4つの楽章で構成されていて全員の演奏は第3、第4楽章だけです。第1楽章の「モデラート」はホルンとピアノで演奏されます。単調な主題と動きのある主題があります。サンダースののホルンは明るい響きでメリハリのある素晴らしい演奏です。ドイツのホルンは実によい響きです。ピアノのアイクホルストも素晴らしい演奏です。第2楽章の「ピュー・モッソ」はクラリネットとピアノのデュオです。クラリネットが華やかに忙しく歌います。ピアノも大変素晴らしい響きです。第3楽章の「コン・モト」は全員の演奏になりますが、ピアノとヴァイオリンが目立ちます。ホルンは和音だけになります。第4楽章の「アレグロ」も全員の演奏です。ピアノの響きに圧倒されますが、ホルンのフレーズも聞こえます。ヤナーチェクの素晴らしい作品のひとつです。


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