ヤナーチェクのホルン作品

組曲「青春」&コンチェルティーノ/フィリップ・イーストップ(1977〜79)
CD(LONDON POCL-3666/7)2枚組

ヤナーチェク/室内楽曲全集
CD1
1.弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
2.弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」
3.ヴァイオリン・ソナタ
4.ヴァイオリンとピアノのためのドゥムカ
5.ヴァイオリンとピアノのためのロマンス
CD2
6.組曲「青春」
7.カプリッチョ「挑戦」
8.コンチェルティーノ
9.チェロとピアノのためのおとぎ話
10.チェロとピアノのためのプレスト

 ガブリエリ弦楽四重奏団(1&2)
 ケネス・シリト(ヴァイオリン)(3〜5)
 ポール・クロスリー(ピアノ)(3〜5&7〜10)
 デイヴィッド・アサートン指揮
  ロンドン・シンフォニエッタ(6〜8)
  セバスチャン・ベル(フルート)(6&7)
 ジャネト・クラクストン(オーボエ)(6)
  アントニー・ペイ(クラリネット)(6&8)
  マイケル・ハリス(バス・クラリネット)(6)
  マーティン・ガット(ファゴット)
 フィリップ・イーストップ(ホルン)(6&7)
 クリストファー・ヴァン・カンペン(チェロ)(9&10)
 録音 1977〜79年

 イギリスの演奏家たちによるヤナーチェクの室内楽曲全集です。ガブリエリ弦楽四重奏団はヴァイオリンのケネス・シリトを中心としたカルテットです。
 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」は1923年書かれ、4つの楽章で構成されています。この作品には特徴的な「ソドレの動機」が随所に表れます。大変美しい作品で全4楽章を楽しく聴けます。フィナーレにも分かりやすくフレーズが出てきます。
 弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」は最晩年の1928年に書かれています。4つの楽章で構成された音楽のラヴレターともいえる作品です。この作品には物語を感じます。語りかけるようなヴァイオリンの主題が第2楽章では聴かれます。第3楽章では悲しそうな歌が心にしみます。
 ヴァイオリン・ソナタはケネス・シリトのヴァイオリン独奏です。この作品は4つの楽章で構成されています。第1楽章「コン・モト」、第2楽章「バラード」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アダージョ」になっています。ケネス・シリトのヴァイオリンは第1楽章の美しい響き、第2楽章ではヴァイオリンとピアノの良い響きがあります。第3楽章は豊かな表現力が素晴らしく、第4楽章ではヴァイオリンとピアノの穏やかな演奏に温かさを感じさせます。これも素晴らしい演奏です。
 「ヴァイオリンとピアノのためのドゥムカ」は小品です。ケネス・シリトのヴァイオリンは温かさを感じさせる名演奏です。ヤナーチェクの作品はピアノの響きが深いです。
 「ヴァイオリンとピアノのためのロマンス」も小品です。ケネス・シリトが美しいロマンスを奏でます。素晴らしい作品です。
 組曲「青春」は木管五重奏にバス・クラリネットが加わった六重奏です。4つの楽章で構成されています。第1楽章の「アレグロ」は木管楽器が元気に行進するような勢いです。ホルンが応援します。イーストップの吹くホルンは明るく力強いです。大変素晴らしい響きです。第2楽章の「アンダンテ・ソステヌート」は哀し気な足取りで歩くような音楽です。穏やかなホルンやファゴットも大変きれいです。「青春」にはいろいろな道があります。第3楽章の「ヴィヴァーチェ」は元気そのものです。オーボエやピッコロ、フルートの元気な姿をホルンやファゴットが追いかけます。第4楽章の「アレグロ・アニマート」はフルートとクラリネットが主題を提示すると他の管楽器がにぎやかに応答します。ホルンの明るい響きがきれいです。この「青春時代」を思わせる音楽は楽しいです。演奏も楽しそうです。
 「カプリッチョ」は「挑戦」の副題があり、左手ピアノ、フルート、2本のトランペット、テノール・テューバと3本のトロンボーンで演奏されます。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アンダンテ」となっています。第1楽章と第2楽章ではテノール・テューバがまるでホルンを吹いているかのように聞こえてくるのが楽しいです。金管楽器の中にフルートが響くのが印象的です。第4楽章もトロンボーンとフルートの響きがきれいです。クロスリーのピアノが大変素晴らしい響きです。これは素晴らしい演奏です。
 「コンチェルティーノ」は2つのヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、ホルン、ファゴットとピアノのための作品です。4つの楽章で構成されていて全員の演奏は第3、第4楽章だけです。第1楽章の「モデラート」はホルンとピアノで演奏されます。単調な主題と動きのある主題があります。イーストップのホルンは明るい響きで大変きれいな演奏です。ホールによく響いています。後半は勢いがあります。ピアノのクロスリーの演奏もよい響きです。第2楽章の「ピュー・モッソ」はクラリネットとピアノのデュオです。アントニー・ペイのクラリネットが華やかで忙しく歌います。ピアノも大変素晴らしい響きです。ホールによく響きます。第3楽章の「コン・モト」は全員の演奏になりますが、ピアノとヴァイオリンが目立ちます。ホルンはほとんど和音になります。第4楽章の「アレグロ」も全員の演奏です。ピアノの響きに圧倒されますが、ホルンのフレーズも聞こえます。ヤナーチェクの素晴らしい作品のひとつです。
 「チェロとピアノのためのおとぎ話」はクリストファー・ヴァン・カンペンのチェロ独奏です。3つの小品で構成されています。第1曲ではピツィカートが使われています。そして流れるような主題は物語のようです。第2曲ではピアノも素晴らしい響きでチェロのピツィカートがここでも聞かれます。第3曲はアレグロで流れるようなチェロの演奏が素晴らしいです。
 「チェロとピアノのためのプレスト」は短い小品です。速いフレーズの演奏が素晴らしいです。


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