シューベルト/八重奏曲

ギュンター・ヘーグナー(1990)
CD(DECCA 430 516-2)

シューベルト/2つの八重奏曲
1.八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための
2.八重奏曲ヘ長調D72「メヌエットとフィナーレ」
   〜2つのオーボエ、2つのクラリネット、
   2つのホルンと2つのファゴットのための

 ウィーン八重奏団(1)
  ウェルナー・ヒンク(第1ヴァイオリン)
  フーベルト・クロイザマー(第2ヴァイオリン)
  クラウス・パイシュタイナー(ヴィオラ)
  フリッツ・ドレシャル(チェロ)
 アロイス・ポシュ(コントラバス)
  ペーター・シュミードル(クラリネット)
  ギュンター・ヘーグナー(ウィンナホルン)
  ステファン・トゥルノフスキー(ファゴット)
 ウィーン管楽ゾリステン(2)
 ゲルハルト・トゥレチェク(オーボエ)
 マルティン・ガブリエル(オーボエ)
 ペーター・シュミードル(クラリネット)
 ハンス・ヒンドラー(クラリネット)
 ミヒャエル・ヴェルバ(ファゴット)
 ラインハルト・エールベルガー(ファゴット)
 フランツ・ゼルナー(ウィンナホルン)
 フォルカー・アルトマン(ウィンナホルン)
  録音 1990年1月12〜15日
  ウィーン・コンツェルトハウス・モーツァルトザー

  ウィーン八重奏団と管楽ゾリステンによるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。6つの楽章で構成されています。
 第1楽章は前奏のアダージョからウィーン・フィルのような美しい響きのアンサンブが聞かれます。続くアレグロでは素晴らしいアンサンブルが聞かれます。ヒンクのヴァイオリンとシュミードルのクラリネットが良い響きで歌います。ヘーグナーのウィンナホルンは美しい響きで素晴らしい演奏をしています。このアンサンブルはウィーン・フィルのように素晴らしい演奏を聞かせてくれます。後半の演奏も同様です。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらヘーグナーの感動的なホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはシュミードルのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気が大変きれいです。そしてクラリネットとヴァイオリンの対話が感動的です。中間部では緻密なアンサンブルが素晴らしい。ホルンとヴァイオリンとの掛け合いも大変素晴らしい響きです。そしてチェロの美しい響きが続きます。ファゴットのやわらかな響きも感動的。コーダのコントラバスのピツィカートは優しく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。8人のアンサンブルはここでも素晴らしい演奏をきかせています。シュミードルのクラリネットの響きも素晴らしい。またユニゾーンの響きがきれいです。トリオも素晴らしい演奏で、これがウィーンのシューベルトです。わくわくするような音楽です。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みが大変きれいです。第2変奏は勢いもあって良い響きを出しています。第3変奏はヘーグナーのホルンが大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいに響きます。後半は特にホルンがよい響きです。続くチェロの第4変奏もドレシャルが良い響きを出しています。ヴァイオリンと
クラリネットが対話しています。第5変奏は勢いがあり緊張感も感じられます。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響きです。第7変奏は管楽器の良い響きと弦楽の素晴らしいアンサンブルがあります。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットとヴァイオリンで美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ヘーグナーのウィンナホルンは流麗な演奏で大変きれいです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットもよい響きです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルです。管楽器の明るい響き、弦楽の響きの良さはまさにウィーン・フィルのようです。これぞウィーンのシューベルトです。この演奏は絶賛します。
 演奏時間60分41秒。
 八重奏曲ヘ長調D72「メヌエットとフィナーレ」は編成が2つのオーボエ、2つのクラリネット、2つのホルンと2つのファゴットになっています。「メヌエット」は管楽器のみの響きが華やかです。ベートーヴェンの管楽八重奏を彷彿させますが同じフレーズの繰り返しがあるのはやはりシューベルトです。第2トリオのホルンのソロが大変きれいです。これはまさに歌曲のようです。「フィナーレ」はオーボエの主題が大変華やかです。トゥレチェクのオーボエが素晴らしい響きです。8本の楽器は力のこもった演奏を繰り広げています。


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