モーツァルト/ロンドK371
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CD(KING KICC1580)
モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
2.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
(カデンツァ:藤倉 大)
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
(カデンツァ:鈴木優人)
4.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412(386b)
5.コンサート・ロンド変ホ長調K371
(カデンツァ:狭間美帆)
福川 伸陽(ホルン)
鈴木 優人指揮&チェンバロ
モーツァルト・コンソート・ジャパン
録音 2021年2月23日
東京、サントリーホール 大ホール
福川伸陽による待望のモーツァルト/ホルン協奏曲全集です。日本のホルン奏者としては千葉馨先生以来の51年ぶりの全集録音です。小編成のモーツァルト・コンソート・ジャパンとの演奏は穏やかな演奏になっています。
ホルン協奏曲第2番は滑らかな演奏の第1楽章がきれいな響きのホルンです。力みのない演奏はオーケストラとのバランスも良く素晴らしいものです。第2楽章の優雅な演奏もまた癒されます。素晴らしいモーツァルトです。第3楽章のロンドは軽やかなホルンで歌います。さわやかな演奏のモーツァルトです。かつてないきれいなホルンです。
ホルン協奏曲第4番は第1楽章の序奏は力強いオーケストラです。ホルンのソロは力むことのない美しい響きのホルンです。カデンツァは藤倉大によるものです。このカデンツァはまさに藤倉の作品です。「ぽよぽよ」の延長のようでトリル、ストップ音、フラッタータンギングなど、力強いホルンが聴かれます。ここでは思い切ってホルンを吹いています。現代のカデンツァといって良いでしょう。第2楽章のロマンツェは大変きれいな演奏です。第3楽章のロンドはこれも軽やかなロンドです。コーダ前のカデンツァも藤川の作で、ナチュラルホルンのように演奏しています。見事な演奏です。
ホルン協奏曲第3番はクラリネットとファゴットが管楽器の響きを出していますので他の3曲とは異なる響きになります。その中に柔らかな響きのホルンが入るという名曲です。第1楽章はホルンのレガートがきれいな演奏が素晴らしいです。カデンツァは鈴木優人が書いたもので、長いカデンツァの前半はモーツァルトを基調にしたもので、後半にはチェンバロを加えた鈴木らしいカデンツァになっています。見事な演奏です。第2楽章のロマンツェは大変きれいな演奏です。中間部のfpも抑えの利いたものです。第3楽章のアレグロはオーケストラと共に力強い演奏になっています。コーダ前に短いカデンツァがあります。これも素晴らしい演奏になっています。
ホルン協奏曲第1番はロバート・レヴィンの補筆完成版での演奏です。ニ長調のホルンは少し響きが違って聞こえますが、さすがに福川のホルンは素晴らしい演奏です。後半は昔の第1番とはまったく違います。第2楽章のロンドはK514のオリジナルです。楽しさが伝わってきます。この楽章には短いカデンツァが入ります。
コンサート・ロンド変ホ長調もロバート・レヴィンの再構築版のようです。福川の演奏はレガートのきれいな素晴らしい演奏です。カデンツァは狭間美帆の作で、かなり凝ったものです。難しいカデンツァですが、福川は難なく演奏しています。このロンドは天下一品といってもよい超名演です。このアルバムは絶賛したいと思います。 |
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