ベートーヴェン/七重奏曲

ピーター・フランコウム(2017)

CD(Somm Recordings SOMMCD0190)

1.キュフナー(伝ウェーバー)序奏、主題と変奏曲
2.ベートーヴェン/七重奏曲変ホ長調 Op20
3.ヨハン・シュトラウス2世/春の声
            (エマ・ジョンソン編)
4.ヨハン・シュトラウス2世/無窮動
            (エマ・ジョンソン編)

 エマ・ジョンソン(クラリネット)(1〜4)
 クリス・ウェスト(コントラバス)(2〜4)
 フィリップ・ギボン(ファゴット)(2〜4)
 ピーター・フランコウム(ホルン)(2〜4)
カルドゥッチ弦楽四重奏団
 マシュー・デントン(ヴァイオリン)(1&2)
 ミケーレ・フレミング(ヴァイオリン)(1〜4)
 エオイン・シュミット=マルティン(ヴィオラ)(1&2)
 エマ・デントン(チェロ)(1&2)
  録音 2017年10月7日
 サザンプトン大学 ターナー・シムズ・ホール ライ

 イギリスのクラリネット奏者エマ・ジョンソンの編曲を含む室内楽アルバムです。
 ウェーバー作ともいわれたキュフナーの「序奏、主題と変奏曲」はクラリネットと弦楽四重奏のための作品です。まさにロマン派の作品らしい美しい主題が歌われます。エマ・ジョンソンのクラリネットが美しい響きで演奏されます。変奏の素晴らしい演奏は聴きものです。速めのテンポ、遅めのテンポの変奏があります。ヴァイオリンのソロもあって見事な演奏です。
 ベートーヴェンの「七重奏曲変ホ長調」は第1楽章の序奏の響きには厚みがあります。エマ・ジョンソンのクラリネットがリードしているようです。主部のクラリネットとのヴァイオリンの演奏が素晴らしいです。展開部のホルンのソロもやわらかな響きがきれいです。クラリネット、ファゴットとホルンの和音がよい響きです。再現部の素晴らしい演奏は見事です。フランコウムのホルンも良い響きです。第2楽章「アダージョ・カンタービレ」はクラリネットのきれいな主題に始まりヴァイオリンに受け継がれます。ファゴットとホルンのソロもあります。ホルンの哀愁的な歌が大変きれいです。クラリネットとヴァイオリンのソロもきれいです。第3楽章「メヌエット」は親しみやすい主題に始まります。ヴァイオリンで始まり、木管に受け継がれていきます。トリオにはホルンの鮮やかなソロがあります。クラリネットも楽しそうです。素晴らしい演奏です。第4章の主題と変奏は軽快な主題が大変きれいです。続く変奏は弦楽のスタッカートが生き生きしています。ヴァイオリンや木管楽器の変奏が楽しそうに聞こえます。ホルンの変奏も良い響きです。ここも素晴らしい演奏です。第5楽章「スケルツォ」はホルンで始まります。このホルンがリードするところが楽しいです。ヴァイオリンの細かいフレーズもきれいです。トリオではチェロが優雅に歌います。このスケルツォは素晴らしい演奏です。第6楽章は序奏でホルンが哀愁的な主題を吹いています。ヴァイオリンが続きます。プレストからは息の合った見事なアンサンブルを聞かせます。ヴァイオリンが主題を提示します。ホルンの響きがまた素晴らしいです。木管もきれいな演奏です。後半にヴァイオリンのカデンツァが入ります。この七重奏曲は絶賛したい名演奏です。拍手喝采です。
 ヨハン・シュトラウスの「春の声」はエマ・ジョンソンの編曲による室内楽版です。ほとんどクラリネットが主題を吹くようです。ヴァイオリンもユニゾーンで歌います。途中にはホルンやファゴットの演奏もあります。これは見事な演奏です。
 ヨハン・シュトラウスの「無窮動」もエマ・ジョンソンの編曲による室内楽版です。こちらもほとんどクラリネットが主題を吹くようです。ファゴットのソロやホルンのソロもきれいに聞こえます。これは見事な演奏です。拍手喝采です。


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