モーツァルト/ロンドK371

ズデニェク・ティルシャル(1982)


LP(SUPRAPHON&DENON OF−7058−ND)
CD1(SUPRAPHON&DENON COCO−75484)
CD2(SUPRAPHON 10 3619−2)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417 
2.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
3.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
5.ロンド変ホ長調K371 

  ズデニェク・ティルシャル(ホルン)
  オルドジフ・ヴルチェク指揮
    プラハ室内管弦楽団
   録音 1982年9月18〜25日

  このアルバムはモーツァルトの協奏曲としては初のデジタル録音でした。ティルシャルは1976年にホルン協奏曲第2番とロンドK371を録音していましたが全曲はこれが初めての録音でした。
 ホルン協奏曲第2番はボヘミアのホルンの響きを大切に明るいモーツァルトを聞かせています。この明るいビヴラートがティルシャルの個性です。トリルの響きも独特です。レガートのスムーズなことスラーの滑らかなこと素晴らしい演奏です。第2楽章の美しい響きはティルシャルならではのものです。第3楽章のロンドは軽やかなホルンが流れます。
 ホルン協奏曲第3番は序奏の部分に珍しく「ドードード」のホルンのソロと次のフレーズもが入りません。提示部からのホルン・ソロはきれいなものです。レガート、スラーが実にきれいなものです。カデンツァは自作ではなく、ミラン・スラヴィツキーの作ですが、長大なカデンツァで技巧的です。これはティルシャルのために書かれています。第2楽章のロマンスは歌うようにきれいな演奏です。第3楽章は明るく楽しいアレグロです。
 ホルン協奏曲第1番はホルンの音色が最も美しく響く作品です。ティルシャルのホルンの響きは大変美しいのでこの曲が映えます。第2楽章はジェスマイアー版です。流麗なホルンが聴かれます。
 ホルン協奏曲第4番は明るいホルンの響きがこの作品に新たな命を吹き込んだかのようです。この美しい主題をティルシャルが吹くと印象が違います。カデンツァはここでもミラン・スラヴィツキーの長大なカデンツァを吹いています。素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンスは美しいアンダンテです。第3楽章のロンドは軽快なホルンです。軽いビヴラートがきれいです。コーダ前にカデンツァは入りません。
 ロンド変ホ長調K371は提示部のない版です。速めのテンポできれいな演奏です。カデンツァはヘルマン・クリングのものを吹いていました。


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