J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ヴェーナー・シュペート&ゲルハルト・シュルント(1966)

CD1(DENON C0CO-6581)
CD2(DENON C0CO-6582)

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃        第2番ヘ長調BWV1047
3.      〃        第4番ト長調BWV1049
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050
5.      〃        第3番ト長調BWV1048
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051

 ブレントン・ラングバイン(ヴァイオリン)(1〜4)
 ハインツ・ホリガー(オーボエ)(1&2)
 アンドレ・ラウル(オーボエ)(1)
 ミシェル・ピゲ(オーボエ)(1)
 ヴェーナー・シュペート(ホルン)(1)
 ゲルハルト・シュルント(ホルン)(1)
 マンフレッド・サックス(ファゴット)(1)
 モーリス・アンドレ(トランペット)(2)
 レイモンド・メイラン(フルート)(2&4)
 ミシェル・ピゲ(リコーダー)(3)
 クリスティアン・ランゲ(リコーダー)(3)
 クリスティアーヌ・ジャコテ(チェンバロ)(4)
 ハンネローレ・ムラー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 ベッティーナ・バンツィンガー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 カール・シューリヒト指揮
  チューリヒ・バロック・アンサンブル
   録音1966年5月

 カール・シューリヒトが最晩年にコンサートホール・ソサエティに録音したバッハのブランデンブルク協奏曲全集です。オーケストラはシューリヒトのために参集した名ソリスト揃いでした。モーリス・アンドレやハインツ・ホリガーなど名手が集まりました。

 ブランデンブルク協奏曲第1番は冒頭から神々しい響きが流れてきます。シューリヒトが指揮は素晴らしいものです。2つのホルンと3本のオーボエがとてもきれいです。オーケストラに厚みがあります。第2楽章のホリガーらのオーボエの美しい響きとラングバインのヴァイオリンの響きがきれいです第3楽章は2本のホルンがきれいに響きます。ヴェーナー・シュペートとゲルハルト・シュルントのホルンが素晴らしい響きです。ヴァイオリンのソロもきれいです。第4楽章のメヌエットは程よいテンポです。第1トリオではオーボエのアドリブがあって素晴らしい響きです。ポロネーズは程よいテンポでさわやかに演奏しています。弾むリズムは楽しそうです。第2トリオのホルンとオーボエは大変素晴らしい演奏です。ホルンがきれいに響きます。このメヌエットは素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第2番はモーリス・アンドレのトランペットが大変きれいに響きます。最高の演奏が全体を支えています。ホリガーのオーボエとアンドレのトランペットの対話が素晴らしい。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、フルートのトリオが大変きれいです。通奏低音もよく響きます。第3楽章ではトランペットの高域の音が飛び交いますので華やかです。アンドレのトランペットは大変素晴らしい演奏です。フルート、ヴァイオリンとオーボエの響きもまたきれいです。

 ブランデンブルク協奏曲第4番は2本のリコーダーで演奏しています。ヴァイオリンの響きもまたきれいです。ミシェル・ピゲとクリスティアン・ランゲのリコーダーの響きは実に美しいものです。第2楽章は冒頭の弦楽がよい響きです。リコーダーとラングバインのヴァイオリンも良い響きを出しています。第3楽章の冒頭はフーガですが、このシューリヒトの演奏はさすがに素晴らしいものになっています。リコーダーとヴァイオリンも見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第5番は弦楽の爽やかな序奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロが演奏するバッハの代表的な協奏曲のひとつです。レイモンド・メイランのフルート、ブレントン・ラングバインのヴァイオリンとクリスティアーヌ・ジャコテのチェンバロの素晴らしい演奏が聞かれます。後半のチェンバロ・ソロも見事なものです。第5番はここが聞きどころです。第2楽章はチェンバロ、フルートとヴァイオリンのトリオ・ソナタがきれいです。チェンバロのメロディもまた聴きものです。通奏低音もきれいに入ります。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。クリスティアーヌ・ジャコテのチェンバロもこれはきれいな演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第3番は程よいテンポの第1楽章は弦楽の美しさがあります。素晴らしい響きです。第2楽章ではチェンバロの短いカデンツァが入ります。そして弦楽にチェンバロが重なって終わります。第3楽章のアレグロは緻密な演奏の弦楽が素晴らしいです。

 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で素晴らしい演奏になっています。勢いがあります。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが優雅に演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポでこれも素晴らしい演奏です。これはシューリヒトの名演です。


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