J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ルートヴィヒ・ギュトラー&クルト・ザンダウ(1984)

CD1(ETERNA 3 29 018)
CD2(CAPRICCIO 49 256 6)

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番ヘ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.      〃       第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
7.      〃      第5番ニ長調BWV1050a
                (初版)

 ルートヴィヒ・ギュトラー(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
         〃      (トランペット)(2)
 クルト・ザンダウ(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
 エバーハート・パルム(ヴァイオリン)(1)
 カール・ズスケ(ヴァイオリン)(2〜5&7)
 ブルクハルト・グレツナー(オーボエ)(1)
 ギュンター・ハイドリッヒ(オーボエ)(1)
 エッカルト・ハウプト(リコーダー)(2&4)
      〃   (フラウト・トラヴェルソ)(5&7)
 グートルーン・ヤーン(リコーダー)(4)
 クリスティアーヌ・ジャコッテ(チェンバロ)(5&7)
 カール・ズスケ(ヴィオラ)(6)
 ヴォルフガング・エスピーグ(ヴィオラ)(6)
 ジークフリート・パンク(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 ニコラウス・ゲデケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 ブルクハルト・シュミット(チェロ)(1〜7)
 ライナー・フッケ(コントラバス)
 クリスティーネ・シェーンスハイム(チェンバロ)
 マックス・ポンマー指揮
  ライプツィヒ・新バッハ・コレギウム・ムジクム
   録音 1984年

 マックス・ポンマー指揮ライプツィヒ・新バッハ・コレギウム・ムジクムのブランデンブルク協奏曲全集です。第5番は2つの版が聴かれます。
 ブランデンブルク協奏曲第1番ではコルノ・ダ・カッチャを使っていますが、この楽器はいわゆる狩猟ホルン(ナチュラルホルン)ではなくピッコロ・ホルンに近いバルブの付いた楽器でレバーが逆向きですから右手で操作して吹きます。音はトランペットのように鳴り響きます。ギュトラーはトランペットの名手ですがコルノ・ダ・カッチャの録音もあります。そんなわけで第1楽章は冒頭からホルンではなくてトランペットのような響きが聞こえてきます。2本のトランペットのための協奏曲のようですが、オーボエとヴァイオリンの演奏も負けじと存在感を示しています。第2楽章はオーボエが大変きれいな演奏になっています。第3楽章はコルノ・ダ・カッチャが明るく楽しそうに響きます。ヴァイオリンも素晴らしい。第4楽章は明るい響きのメヌエットがきれいです。第1トリオはオーボエとファゴットが良い響きを作っています。中間部のポロネーズはやや速めのテンポで弦楽がきれいです。後半の踊るようなリズムは素晴らしい。第2トリオは速めのテンポで軽やかに演奏しています。さすがにギュトラーとザンダウのコンビは素晴らしい。

 ブランデンブルク協奏曲第2番はギュトラーのピッコロ・トランペットが明るく響きます。ヴァイオリンとオーボエもきれいです。ハウプトのリコーダーもよく聞こえています。第2楽章のヴァイオリン、オーボエとリコーダーの演奏は大変きれいです。第3楽章のトランペットとオーボエの掛け合いは聴きものです。リコーダーとヴァイオリンの絡みも素晴らしい。

 ブランデンブルク協奏曲第3番はポンマーの指揮する弦楽合奏が重厚に響きます。第2楽章のアダージョにはズスケのヴァイオリンの長いカデンツァが入ります。これが素晴らしい。第3楽章はさわやかな響きで始まり明るい弦楽合奏になっています。

 ブランデンブルク協奏曲第4番のリコーダーはエッカルト・ハウプトとグートルーン・ヤーンによる演奏です。第1楽章からリコーダーの美しい和音が響きます。カール・ズスケのヴァイオリンと共に良い響きです。第2楽章のアンダンテは冒頭からリコーダーと弦楽が大変よい響きです。ヴァイオリンも良い響きを出しています。第3楽章の冒頭はフーガですが、この演奏は素晴らしいものになっています。カール・ズスケのヴァイオリン・ソロも見事な演奏です。
 
 ブランデンブルク協奏曲第5番はエッカルト・ハウプトのフラウト・トラヴェルソ、カール・ズスケのヴァイオリン、クリスティアーヌ・ジャコッテのチェンバロによる演奏です。第1楽章冒頭の軽やかな弦楽による演奏に続くフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロがきれいな響きです。フラウト・トラヴェルソは木管らしいやわらかな響きがきれいです。また後半のジャコッテによるチェンバロ独奏が素晴らしい響きです。第5番はここが聴きどころです。第2楽章のフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロのトリオ・ソナタがよい響きです。通奏低音は入りません。第3楽章は勢いのある素晴らしい演奏です。フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリンとチェンバロが素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによる、いわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章は程よいテンポの演奏です。ヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で素晴らしい演奏になっています。そしてメリハリのある演奏がまた素晴らしいです。ズスケはヴィオラを弾いています。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが優雅に演奏します。美しい響きです。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポで緻密な演奏です。これも素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第5番の初版BWV1050aはエッカルト・ハウプトのフラウト・トラヴェルソ、カール・ズスケのヴァイオリン、クリスティアーヌ・ジャコッテのチェンバロによる演奏です。通常版との大きな違いは第1楽章後半のチェンバロのカデンツァが短いこと、第2楽章に通奏低音が入ることです。第1楽章冒頭の軽やかな弦楽による演奏に続くフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロがきれいな響きです。第2楽章のフラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロのトリオ・ソナタがよい響きです。ここでは通奏低音がきれいに入ります。第3楽章は勢いのある素晴らしい演奏です。フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリンとチェンバロが素晴らしい演奏です。


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