ロウェル・ショー/ホルン作品

ビッパリーズ第5番/ジェシー・マコーミック&スーザン・マッカラ(2007)
CD(自主制作盤)

IT’S ALL RELATIVE
1.ブラームス(レイノルズ編)/5つの二重唱
  1)4つの二重唱曲 Op28より
             「狩人とその恋人」
  2)4つのバラードとロマンスOp75より
             「私たちをさすらわせよ」
  3)3つの二重唱曲 Op20より
             「恋の道」
  4)4つの二重唱曲 Op28より
             「流れはざわめく」
  5)4つのバラードとロマンスOp75より
             「ワルプルギスの夜」
2.マイケル・フィリューン/二重奏曲
3.ポール・バスラー/Reflections(反射)
  1)カンシオン(歌)
  2)タランテラ
  3)ラメントーソ
  4)踊り
  5)エピローグ
4.ダグラス・ヒル/2つのホルンのための
           10の小品より
  1)フォーク・ダンス
  2)子供の歌
  3)ダイアログ(対話)
5.へルマン・ノイリンク/バガテル
6.クーラウ/2つのホルンのための
     コンチェルティーノ ヘ短調Op 45
          (ヨセフ・アンデラー編)
7.ロウェル・ショー/ビッパリーズ第5番

  ジェシー・マコーミック(ホルン)(1、2&4〜7)
  スーザン・マッカラ(ホルン)(1〜4、6&7)
  タマラ・ゴールドスタイン(ピアノ)(1〜3、5&6)
  録音 2007年8月30日〜9月2日
    デンバー大学ハミルトン・リサイタル・ホール

 ジェシー・マコーミックはクーヴランド管弦楽団のホルン奏者、スーザン・マッカラはコロラド・スプリングス交響楽団の首席ホルン奏者です。
 ブラームスの「5つの二重唱」はヴァーン・レイノルズが2つのホルンのために編曲したもので、原作は「3つの二重唱曲 Op20」がソプラノとアルト、「4つの二重唱曲 Op28」はアルトとバリトン、「4つのバラードとロマンスOp75」はソプラノの二重唱です。いずれも穏やかな雰囲気の演奏ですが最後の「ワルプルギスの夜」だけは盛り上がります。5曲の全曲録音は初めてでしょう。
  マイケル・フィリューン(Michael Viljoen)については資料がなく詳細不明ですが現代の作品で「2つのホルンとピアノの為の作品」です。冒頭美しい和音が響き、やがてミュート付ホルンとノーマル・ホルンの二重奏というマーラー的な部分もあります。楽しい作品といえます。
 ポール・バスラー(1963〜)はアメリカの作曲家でホルンの作品は多いです。「Reflections(反射)」はホルンとピアノのための作品で、演奏はーザン・マッカラです。女性ですが太い響きで力強い演奏です。「タランテラ」はピアノも面白いですが、ホルンの跳躍的なフレーズの連続は見事な演奏です。「ラメントーソ(悲しげに)」の響きは印象的です。
 ダグラス・ヒルはアメリカのホルン奏者でホルン・アンサンブルなどの作品があります。この2つのホルンのための10の小品はホルン・デュオのための作品で3曲が演奏されています。「フォーク・ダンス」と「子供の歌」は楽しそうです。「ダイアログ(対話)」はホルンの対話ともいえるかなりの難曲です。
 ノイリンクのバガテルは低音が多く、いわゆる下吹きホルンのための作品です。ソロを吹くジェシー・マコーミックはクリーヴランドのセカンド・ホルン奏者ですからお得意の作品でしょう。低音のよく響く演奏で数少ない録音のひとつになります。
 フリードリヒ・クーラウ(1786〜1832)の「2つのホルンのためのコンチェルティーノ」はオーケストラ伴奏の作品ですがここではピアノ伴奏で演奏されています。2人の息のあった見事な演奏がきかれます。ロマン派作品で美しい二重奏が流れます。曲はディヴェルティメント風の5楽章からできています。その楽章は切れ目なく演奏され、ウェーバーのコンチェルティーノのようです。しかも2つのポラッカが含まれており、2本のホルンがウェーバーの作品を吹いているような作品です。見事な演奏です。他にランツキー=オットーとヴェクレの録音があります。
 最後の作品、ロウェル・ショーの「ビッパリーズ第5番」は2つのホルンのためのエチュードで全部で9曲ある中の1曲です。二人の息のあった演奏が素晴らしい。このアルバムは数少ないホルン・デュオのアルバムとしてお勧めしたいものです。


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