J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ルドルフ・ベラーネク&ズデニェク・ポーク(1989)
CD(VANGUARD KICC 21/2)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.       〃      第2番ヘ長調BWV1047
3.       〃      第3番ト長調BWV1048
4.       〃      第4番ト長調BWV1049
CD2
5.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
7.管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067

  ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)(1、2、4&5)
  ルドルフ・ベラーネク(ホルン)(1)
  ズデニェク・ポーク(ホルン)(1)
  イヴァン・セクアルト(オーボエ)(1&2)
  リべナ・セクアルトヴァ(オーボエ)(1)
  イルジ・ヴォドナンスキー(オーボエ)(1)
  ルボシュ・フチェク(ファゴット)(1)
  イルジ・ヴァーレク(フルート)(2、5&7)
  ミロスラフ・ケイマー(トランペット)(2)
  イルジ・スティヴィン(リコーダー)(4)
  アレシュ・リバン(リコーダー)(4)
  ズザナ・ルージイッチコヴァ(チェンバロ)(5)
  ヨゼフ・スーク指揮スーク室内管弦楽団
  ゾルカ・パテロヴァ(チェンバロ)
   録音 1989年11月

  ヴァイオリンの巨匠ヨゼフ・スーク(ヨセフ・スーク)が指揮するスーク室内管弦楽団によるブランデンブルク協奏曲です。
  ブランデンブルク協奏曲第1番は小編成のオーケストラの整然とした響き、ボヘミアのホルン独特の明るい響きがあります。オーボエとスークのヴァイオリンの美しい響きが印象的です。第2楽章のオーボエとヴァイオリンの対話も絶品です。第3楽章はホルンの響きが明るく楽しそうに聞こえています。ヴァイオリンとホルンの絡みもきれいです。
 第4楽章のメヌエットはやや速めのテンポで演奏しています。3本のオーボエの響き、ホルンのヴィブラートがきれいです。第1トリオのオーボエとファゴットは明るい音色の響きが大変きれいです。中間部のポロネーズは弦楽の弱奏の部分と強奏の部分の対比は大きくありませんんが大変きれいな演奏です。第2トリオのホルンとオーボエの演奏はやや遅いテンポでホルンのきれいな響きを前面に出しています。ボヘミアのホルンの響きは素晴らしいものです。
  第2番はトランペットとオーボエの柔らかな響きがきれいです。ケイマーのピッコロ・トランペットの音色が大変きれいです。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、フルートのトリオ・ソナタのようです。ここではリコーダーではなくフルートを使っていますのでフルートの響きが目立ちます。第3楽章ではトランペットの高域の音が大変きれいな響きになっています。オーボエ、ヴァイオリンとフルートの絡みも良い響きになっています。
  第3番は弦楽器奏者とチェンバロによる演奏です。厚みのある弦楽の美しさがあります。第2楽章のアダージョにはチェンバロの短いカデンツァが入ります。弦楽が2小節を演奏して第3楽章に入ります。アレグロの演奏は弦楽のアンサンブルが素晴らしい。
  第4番は2本のリコーダーが主役の名曲です。この演奏ではリコーダーのスタッカートが鮮やかです。またスークのヴァイオリンがに加わりますが、このソロ演奏がまた素晴らしい。第2楽章のリコーダーと弦楽の作る響きの良さにはうっとりさせられます。この楽章はやはりリコーダーのほうがきれいです。第3楽章はリコーダーと弦楽のバランス良い演奏がききどころでしょう。スークのヴァイオリンも素晴らしい。
  第5番の演奏は弦楽合奏による厚みのある響きで始まります。間もなく歌われるフルート、ヴァイオリン、チェンバロが対話するように絡み合う演奏が素晴らしい。ここでチェンバロを弾くルージイッチコヴァはバッハを得意とする巨匠でこの全集で唯一この5番でチェンバロを弾いています。華麗な音色が全曲で聞かれます。後半の長大なチェンバロ・ソロも素晴らしい演奏です。フルートのヴァーレクとヴァイオリンのスークがソリストとして華麗な演奏をしているのも聴きものです。第2楽章はフルートの明るい響きとヴァイオリンの対話がきれいです。これもトリオ・ソナタのようです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフルートの息の合った演奏が聴きどころでしょう。チェンバロの流麗な演奏も見事です。
  第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。この響きは重厚で素晴らしい。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますがテンポの速い演奏になっています。レガートが流麗で聞き惚れそうです。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。スークはヴィオラを弾いています。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。これも素晴らしい演奏です。 
  管弦楽組曲第2番はフルートと弦楽のための作品です。ヴァーレクのフルートは明るく全曲にわたって美しい響きが聞かれます。ポロネーズとバディネリはこの演奏の中では白眉の名演奏です。


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