ロウェル・ショー/ホルン作品

トリッパリー第4番/ラデク・バボラーク(2013)
CD(ANIMAL MUSIC ANI044-2)

オルクエストリーナ〜バボラーク・ダンスアルバム
1.ピアソラ(イルレ編)/タンゴの歴史(全4曲)
2.ショー/トリッパリー第4番
3.レフ・コーガン(バボラーク編)/
       「ハシッドの旋律」より全5曲
4.フォーレ(シュテルバーク編)/パヴァーヌOp50
5.ラウロ/ベネズエラ風ワルツ第3番
6.コラード・サリエッティ/ホルンと弦楽のための組曲
     〜タンゴ、カンツォーネ、スピーディ
7.イェヘズケル・ブラウン/アレグロ・スケルツァンド
8.ラヴェル(バボラーク&イルレ編)/ボレロ

  ラデク・バボラーク(ホルン)(1〜8)
  ミクラーシュ・コスカ(ホルン)(1)
  ヤン・ムシル(ホルン)(1、4&8)
  ヤクプ・ホジェイシー(ホルン)(4&8)
  ダヴィト・ミナ−シュ(ホルン)(4&8)
  スヴァトプルク・チェフ(カホン)(2、5&7)
  ハナ・ブーシュコヴァ(ハープ)(4)
  器楽アンサンブル
  録音 2014年2月2日(1)
      2013年11月15&16日(2〜8)

  バボラークが録音したコンサートのアンコール集ということです。 バボラークはいつものバボラーク・アンサンブルにパーカッションを入れた編成で演奏してます。その中にはカホンという打楽器が使われて面白い響きを出しています。
  ピアソラの「タンゴの歴史」は4つのタンゴによる組曲で、フルートで演奏される作品をバボラークがホルンで流暢に演奏しています。中でも第1曲「ボーデル1900」では途中にアドリブが入り、それがロゼッティのホルン協奏曲二短調の冒頭に出てくる主題ですからびっくりで、このタンゴの主題がよく似ているのでひらめいたのでしょう。第4曲「現代のコンサート」のスピード感豊かな演奏には驚きます。
  ローウェル・ショーのトリッパリーズは3本のホルンのための作品で4つの作品がありますが、第4番だけがソロホルンのために編曲されています。これをソロホルンと打楽器のカホンで演奏しています。
  レフ・コーガンの「ハシッドの旋律」はホルンとピアノのための作品でこれをバボラークがホルンと弦楽四重奏のために編曲したものです。第1曲からホルンを超越したような響きを出しています。このホルンはまるでアルトサックスのようにも聞こえてきます。そのレガートの絶妙なことまるでブレインのように天上世界を表現してくれます。第2曲の速いテンポはヴァイオリンとの掛け合いが素晴らしい。力まない優しいホルンはこれまでのバボラークを脱皮したかのようです。第5曲でも速いテンポで流れるようなホルンが素晴らしい。
  フォーレの「パヴァーヌ」ではバックに3本のホルンとハープを加え、弦楽は7人という編成で演奏して奥深い響きを出しています。
  ラウロの「ベネズエラ風ワルツ第3番」はショーのトリッパリーのような小品で、ここでもカホンという打楽器を伴奏に使っています。
  コラード・サリエッティ(1957〜)はイタリアのホルン奏者で作曲も手がけていますが、この「ホルンと弦楽のための組曲」はイタリアの明るさを表現したような素晴らしい作品です。第2曲「カンツォーネ」はまさにカンツォーネを歌っているようです。第3曲「スピーディ」のサルタレロを思わせるようなスピード感はお見事でフラッタータンギングも使います。
  イェヘズケル・ブラウンの「アレグロ・スケルツァンド」は無伴奏ホルンのための12の前奏曲の中の1曲です。それを無伴奏ではなくカホンの伴奏でさらりと吹いています。
  ラヴェルの「ボレロ」はバボラークが17人の演奏者のために編曲したものです。ソプラノサックスのパートをヴァイオリンで実に見事に弾いています。バボラークはソロからバックのリズムと忙しく吹いていますが、クラリネット、バスクラ、ファゴットが入ることで充実した響きの音楽になっています。トロンボーンのソロをバボラークがホルンで朗々と吹くというのがまた絶妙でこの響きがぴったりでした。パーカッションはスネア、タムタム、シンバル、ティンパニ、バスドラムが入って盛り上がってきます。絶賛したい演奏が目白押しのアルバムです。


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