その他のホルン作品2
ゲディケ/ホルン協奏曲ヘ短調/グレブ・カルプーシキン |
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CD(ARTE NOVA 74321 39048 2)
ロシア未来派の音楽第2集
CD1 ゲディケの作品集
1.劇的序曲Op.7
2.6つの即興曲「戦時中に」
(死んだ兵士の日記より)Op26
3.ホルン協奏曲ヘ短調Op40
4.トランペット協奏曲Op41
CD2 チェロ作品集
5.クレイン/ソナタ〜チェロとピアノのための幻想曲
6. 〃 /ソナタ〜チェロとピアノのためのポエム
7. 〃 /ドラマティック・ポエム
8.グネシン/3つの特徴的なメロディ
〜プーシキンの「石の客」への
9.キルコール/チェロとピアノのためのソナタOp7
グレブ・カルプーシキン(ホルン)
ウラディミール・ゴンチャロフ(トランペット)
コンスタンティン・クリメッツ指揮(1〜4)
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団(1〜4)
キリル・ロディン(チェロ)(5〜9)
アンドレイ・ピサレフ(ピアノ)(5〜8)
アレクセイ・ネステレンコ(ピアノ)(9)
録音 1996年2月
ロシアの現代作曲家による作品集です。その中にゲディケのホルン協奏曲が収録されています。
アレクサンダー・ゲディケ(1877〜1957)はモスクワ生まれの作曲家です。教会のオルガン奏者もつとめていました。「劇的序曲」はロシア国民楽派の影響を受けているような作風でまさにロシア音楽の典型的な響きを出しています。
6つの即興曲「戦時中に」は第1次世界大戦を題材にした作品です。序奏と6つの即興曲で構成されます。第1曲「序奏」、第2曲「塹壕の中で」、第3曲「攻撃」、第4曲「静寂」、第5曲「葬送行進曲」、第6曲「戦争」、第7曲「終結」となっています。暗い作品ですが組曲作品としてはよくできており、高く評価したい作品です。演奏も素晴らしい。
ホルン協奏曲ヘ短調は2002年の日本音楽コンクールの課題曲になった作品で、それまでほとんど知られていない作品でした。国内では2014年に安土真弓が名古屋で演奏しています。曲は3つの楽章で構成されています。ヘ短調という調性の協奏曲は珍しいですが、ホルンを響かせるのには申し分ないでしょう。第1楽章のロマンティックな主題はロシア民謡風ともいえるでしょう。カルプーシキンのホルンは軽いビヴラートをかけるロシア風の響きがなんともいえません。長大なカデンツァの力強い響きと素晴らしいテクニックは聞き所です。第2楽章は緩徐楽章で、朗々とホルンが奏でます。大変魅力的な主題が流れます。グリエールの協奏曲と双璧といっても良いでしょう。第3楽章はスケルツォ風の快活なホルンが楽しそうな曲です。この作品は録音はほとんどなく現在入手できる唯一の録音ですが、もっと演奏、録音してほしい名曲です。
トランペット協奏曲は単一楽章の作品です。劇的な作風で物語を思わせるものがあります。美しさと郷愁を感じさせる作品です。長大なカデンツァも素晴らしい。
ジュリアン・クレイン(1913〜1996)のチェロ・ソナタが2作収録されています。「チェロとピアノのための幻想曲」は緩急緩急の4つの楽章で構成されれいます。チェロの美しさを十分に引き出した作品といえましょう。
チェロとピアノのためのポエムは単一楽章ですが緩急緩急緩急の6つの部分に分かれています。アンダンテ・エスプレシーヴォに始まるこの作品もまた魅力的です。
「ドラマティック・ポエム」はこちらも単一楽章の作品でモデラート・ドラマティコではチェロのドラマティックな主題が流れます。
ミハイル・グネシン(1883〜1957)の「3つの特徴的なメロディ」はプーシキンの小悲劇「石の客」につけた音楽です。第1曲「ドン・ジュアン」、第2曲「ドンナ・アンナ」、第3曲「ローラ」か構成されています。チェロによる劇的な表現が聞き所。
ゲオルク・キルコール(1910〜1980)のチェロ・ソナタは3つの楽章で構成される古典的なソナタに近いものです。 |
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