その他のホルン作品2

アル・フーリー/ホルン協奏曲 「暗い山」/ダヴィド・ゲリエ
CD(NAXOS 8.572773)

アル・フーリー/協奏曲集
1.ヴァイオリン協奏曲第1番Op62
      「どこからともなく国境に」
2.ホルン協奏曲Op74「暗い山」
3.クラリネット協奏曲Op78「秋の絵」

  サラ・ネムタヌ(ヴァイオリン)(1)
  ダヴィド・ゲリエ(ホルン)(2)
  パトリック・メッシーナ(クラリネット)(3)
  クルト・マズア指揮(1)
  ジャン=クロード・カサドシュ指揮(2)
  オラリー・エルツ指揮(3)
   フランス国立管弦楽団(1&2)
   パリ室内管弦楽団(3)
   録音2006年5月25日ライヴ(1)
      2009年9月18日ライヴ(2)
      2010年11月10日ライヴ(3)

 ビシャラ・アル=フーリー(1957〜)はレバノンの現代作曲家です。このアルバムには3つの標題付協奏曲が収録されています。
 ヴァイオリン協奏曲第1番「どこからともなく国境に」は1999〜2002年に書かれています。レバノンの状況を思わせるような標題ですが、暗い響きのヴァイオリン・ソロで始まる第1楽章;ミステリオーソ、リリコ、ドラマティコは表現が難しそうです。第2楽章はカデンツァになっています。長大な無伴奏ヴァイオリン作品です。第3楽章:ドラマティコ、ポエティコ、プレスト・コン・フォコはドラマの音楽そのものといえます。
 ホルン協奏曲「暗い山」は2007〜2008年の作品で25分という大曲です。この協奏曲もドラティックです。第1楽章:ミステリオーソ・エネルジコは主題がハイトーンで低音はほとんど使いません。演奏はきついものと思われます。オーケストラの編成が大きいのでホルン奏者にはパワーが求められます。カデンツァも長くハイトーンが続くきついものです。第2楽章:ポエティコは緩やかな楽章ですが、ここもハイトーンが多く使われています。まるで情景の描写音楽のようです。第3楽章:ドラマティコ・エネルジコはオーケストラの劇的な音楽に圧倒されそうです。ダヴィド・ゲリエのホルンは全くかすむことなく響き渡ります。それにしてもこれはパワフル・ホルン・コンチェルトです。ライヴ演奏とは凄いです。 
 クラリネット協奏曲「秋の絵」は2009〜2010年に書かれています。第1楽章:カンタービレは秋の風景を思わせる穏やかな音楽です。第2楽章:ポエティコはこちらも穏やかなテンポで寒々とした情景を思わせる音楽が流れます。第3楽章:エネルジコは力強い響きのクラリネットが素晴らしい演奏です。


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