シューベルト/八重奏曲

ギュンター・ヘーグナー(1976)
CD(LONDON F35L-20022)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 新ウィーン八重奏団
 エーリヒ・ビンダー(ヴァイオリン)
 マリオ・バイヤー(ヴァイオリン)
 ヨゼフ・シュタール(ヴィオラ)
 フリードリヒ・ドレツァル(チェロ)
 ヘルベルト・マンハルト(コントラバス)
 ペーター・シュミードル(クラリネット)
 ギュンター・ヘーグナー(ウィンナホルン)
 ディートマル・ツェーマン(ファゴット) 
 録音 1976年1月
    ウィーン/ソフィエンザール

 新ウィーン八重奏団によるシューベルトの演奏です。シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは素晴らしいアンサンブルが聞かれます。ビンダーのヴァイオリンとシュミードルのクラリネットが良い響きで歌います。続くヘーグナーのウィンナホルンはきれいなレガートで演奏しています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはシュミードルのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。アンサンブの美しさは素晴らしいものです。中間部ではホルンソロが歌われますが、ヘーグナーのウィンナホルンとビンダーのヴァイオリンとの対話がまたきれいです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ビンダーのリードするアンサンブルの整然とした演奏はこの楽章の明るさと暗さをうまく表現しています。シュミードルのクラリネットが大変美しい響きです。トリオも素晴らしい演奏です。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの変奏が素晴らしい響きです。クラリネット、ファゴットとホルンの絡みも絶妙です。ヘーグナーの吹くウィンナホルンの演奏と絡むヴァイオリンは豊かな響きです。続くチェロの変奏もまた聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのように見事なアンサンブルでまとめています。これぞウィーンのシューベルトです。演奏時間58分20秒。


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