シューベルト/八重奏曲

グィド・コルティ(2005)
 CD(onyx ONYX 4006)

  シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ムローヴァ・アンサンブル
 ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)
 エイドリアン・チャモロ(ヴァイオリン)
 エーリヒ・クリューガー(ヴィオラ)
 マヌエル・フィッシャー=ディースカウ(チェロ)
 クラウス・シュトール(コントラバス)
 パスカル・モラゲス(クラリネット)
 グィド・コルティ(ホルン)
 マルコ・ポスティンゲル(ファゴット)
  録音 2005年

 ヴィクトリア・ムローヴァ中心としたムローヴァ・アンサンブルによるアルバムです。チェロは名バリトン、ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウの息子さんマヌエル・フィッシャー=ディスカウ、クラリネットはパリ管の首席パスカル・モラゲス、コントラバスはベルリン・フィルの首席クラウス・シュトール、ホルンはイタリアのグィド・コルティというムローヴァの基に集まった名手たちによる演奏です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章:前奏のアダージョは緊張感に満ちており、続くアレグロでも一糸乱れる巨匠たちのアンサンブルは凄いです。同じ曲と思えないほど気迫が感じられます。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されるのですが、まったくいやみがなくむしろ楽しんでいるかのようです。クラリネットの流れるような主題に続くホルンの演奏が美しいです。コーダはホルンで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。中間部では気迫に満ちた力強い響きを出しています。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。勢いのある演奏はまさに小さなオーケストラです。第4楽章:アンダンテは主題と変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとムローヴァのヴァイオリンの美音が素晴らしい響きです。ホルンにも美しい変奏曲が現れます。クラリネットとファゴットのユニゾーンも凄まじい気迫を感じます。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは壮大なフィナーレで圧巻ともいえる演奏です。
 これほどの圧倒的な名演は少ないでしょう。全6楽章小さい編成ながらもまさにオーケストラを聞いているかのようです。演奏時間63分30秒。


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