シューベルト/八重奏曲

マーティン・オーウェン(2006)
CD(WIGMORE HALL WHLive0017)

マイケル・コリンズと仲間たち
1.シューベルト/岩の上の羊飼いD.965
2.  〃    /八重奏曲ヘ長調Op166、D80
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 アイリッシュ・タイナン(ソプラノ)(1)
 マイケル・コリンズ(クラリネット)(1&2)
 マルコム・マルティヌー(ピアノ)(1)
 マーティン・オーウェン(ホルン)(2)
 ロビン・オニール(ファゴット)(2)
 イサベル・ファン・クーレン(ヴァイオリン)(2)
 ペーター・ブルント(ヴァイオリン)(2)
 ラース・アンドレス・トムター(ヴィオラ)(2)
 ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ)(2)
 ペーター・リーゲルバウアー(コントラバス)(2)
 録音2006年10月14日
 ロンドン、ウィグモア・ホール・ライヴ

 ウィグモア・ホールのライヴ録音CDです。シューベルトの2つの作品が演奏されました。
 「岩の上の羊飼い」はクラリネットのオブリガートが入る歌曲です。シューベルトはホルン・オブリガート付きの歌曲「流れの上で」を作曲していますが、この作品ではクラリネットを使ってソプラノと対等に歌わせています。名曲です。コリンズのクラリネットが大変良い音色で、タイナンのソプラノとよい響きになっています。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。クーレンのヴァイオリンとコリンズのクラリネットが良い響きで歌います。続くオーウェンのホルンはきれいなレガートで演奏しています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットとホルンが対話しながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ユニゾーンの美しさは素晴らしいものです。中間部ではホルンソロが歌われますが、クーレンのヴァイオリンとの対話がまたきれいです。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。コリンズのリードするアンサンブルの整然とした演奏はこの楽章の明るさと暗さをうまく表現しています。トリオがよい響きです。
 第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの美音が素晴らしい響きです。ファゴットとホルンの絡みも絶妙です。オーウェンの吹くホルンの変奏には豊かな響きがあります。続くチェロの変奏もまた聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。優雅な響きのメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なアンサンブルでまとめています。演奏時間61分。


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