シューベルト/八重奏曲

フランツ・ゼルナー(1980)
CD(DGG POCG-2778)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
  〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
   コントラバス、クラリネット、ホルンと
  ファゴットのための

 ウィーン室内アンサンブル
 ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
 クラウス・メッツェル(ヴァイオリン)
 ルドルフ・シュトレンク(ヴィオラ)
 アダルベルト・スコチッチ(チェロ)
ブルクハルト・ブロイトラー(コントラバス)
 アルフレート・プリンツ(クラリネット)
 ミヒャエル・ヴェルバ(ファゴット)
 フランツ・ゼルナー(ウィンナホルン)
 録音 1980年2月&3月
 ウィーン、ローゼンフューゲル・スタジオ

 ウィーン室内アンサンブルはウィーン・フィルのメンバーによる室内楽アンサンブルです。コンサート・マスターのヘッツェルがリーダーです。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョからウィーン・フィルのような美しい響きのアンサンブが聞かれます。続くアレグロでは素晴らしいアンサンブルが聞かれます。ヘッツェルのヴァイオリンとプリンツのクラリネットが良い響きで歌います。ゼルナーのウィンナホルンは味のある響きで見事な演奏をしています。このアンサンブルはウィーン・フィルのように素晴らしい演奏を聞かせてくれます。後半の演奏も同様です。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンの優雅なソロで終わります。第2楽章:アダージョはプリンツのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気が大変きれいです。そしてクラリネットとヘッツェルのヴァイオリンの対話が感動的です。中間部では緻密なアンサンブルが素晴らしい。ホルンとヴァイオリンとの掛け合いも大変素晴らしい響きです。チェロの美しい響きも聞き逃せないです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ヘッツェルのリードするアンサンブルはここでも素晴らしい演奏をきかせています。プリンツのクラリネットの響きも素晴らしい。またユニゾーンの響きがきれいです。トリオも素晴らしい演奏で、これがウィーンのシューベルトです。わくわくするよな音楽です。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの変奏が感動的です。クラリネット、ファゴットとホルンの変奏も絶妙です。ゼルナーの吹くホルンの変奏は朗々と歌う素晴らしい演奏です。そして絡む木管とヴァイオリンもまた良い響きです。続くチェロの変奏も大変良い響きです。これも感動的な演奏です。後半も素晴らしい演奏で、弦楽の緊張感、木管の響きと変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットとヴァイオリンで美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ゼルナーのウィンナホルンは流麗な演奏で大変きれいです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットが素晴らしい響きです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルです。弦楽の響きの良さはまさにウィーン・フィルのようです。これぞウィーンのシューベルトです。この演奏は大絶賛です。演奏時間55分35秒。


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