シューベルト/八重奏曲

ジョナサン・ウィリアムズ(1986)
CD(EMI EMINENCE 7 39405 2)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 チリンギリアン四重奏団
 レヴォン・チリンギリアン(ヴァイオリン)
 マーク・バトラー(ヴァイオリン)
 チャバ・エルデリ(ヴィオラ)
 フィリップ・デ・グロート(チェロ)
 トーマス・マーティン(コントラバス)
 アンドリュー・マリナー(クラリネット)
 ジョナサン・ウィリアムズ(ホルン)
 フェリックス・ウォーノック(ファゴット)
 録音 1986年10月
 ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール

 イギリスの演奏家によるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。チリンギリアンのヴァイオリンとアンドリュー・マリナーのクラリネットが甘い響きで歌います。続くジョナサン・ウィリアムズのホルンはよい響きで滑らかに演奏しています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンの見事なソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまたきれいです。後半も緻密なアンサンブルが聴かれます。コントラバスのピツィカートも良い響きです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。アンドリュー・マリナーのクラリネットは素晴らしい響きで、明るく表現しています。弦楽も良い響きで、ウィリアムズのホルンは高音がよく響きます。ファゴットも良い響きを出しています。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが大変良い響きで演奏しています。ファゴットとホルンの絡みもきれいです。ウィリアムズの吹くホルンの変奏もよい響きです。絡むヴァイオリンもきれいです。続くチェロの変奏もまた聞きものです。後半の演奏も素晴らしく、変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。
ウィリアムズのホルンは良い響きです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットのやさしい響きがきれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なフィナーレです。この演奏は素晴らしいアンサンブルです。
演奏時間63分41秒。


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