シューベルト/八重奏曲

ゲルト・ザイフェルト(1965)

CD(DGG PROC−1460/2)3枚組

CD1
1.ベートーヴェン/七重奏曲 変ホ長調Op20
2.モーツァルト/ファゴットとチェロのための
              ソナタ変ロ長調K292
3.ベートーヴェン/ピアノと管楽のための
             五重奏曲変ホ長調Op16
CD2
4.シューベルト/八重奏曲ヘ長調D803
CD3
5.ヒンデミット/八重奏曲(1957〜58)
6.プロコフィエフ/五重奏曲ト長調Op39
7.ベートーヴェン/八重奏曲変ホ長調Op103

 イェルク・デムス(ピアノ)(3)
ベルリン・フィルハーモニー八重奏団(1、2、4〜6)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団団員(3&7)
 アルフレート・マレチェク(ヴァオリン)(1&4〜6)
 ルドルフ・ハルトマン(ヴァイオリン)(4)
       〃     (ヴィオラ)(5)
 ディートリヒ・ゲルハルト(ヴィオラ)(1)
 ウルリヒ・フリッツェ(ヴィオラ)(4〜6)
 ハインリヒ・マヨウスキー(チェロ)(1、2、4&5)
 ライナー・ツェペリッツ(コントラバス)(1&4〜6)
 ローター・コッホ(オーボエ)(3、6&7)
 ゲルハルト・シュテンプニク(オーボエ)(7)
 ヘルベルト・シュテール(クラリネット)(1、4〜6)
 カール・ライスター(クラリネット)(3&7)
 ペーター・ガイスラー(クラリネット)(7)
 ギュンター・ケップ(ホルン)(1)
 ゲルト・ザイフェルト(ホルン)(3、4、5&7)
 マンフレート・クリエール(ホルン)(7)
 マンフレート・ブラウン(ファゴット)(1&2)
 ハンス・レムケ(ファゴット)(4&5)
 ギュンター・ピースク(ファゴット)(3&7)
 ヘニング・トローク(ファゴット)(7)
 録音 1963年10月30日〜11月6日(1&2)
     1965年4月5〜9日(4)
       ベルリン、イエス・キリスト教会
     1967年1月9〜13日(5&6)
     1969年4月10〜12日(7)
     1969年5月12〜14日(3)
        ベルリン、UFAスタジオ

 ベルリン・フィルハーモニー八重奏団とベルリン・フィルハーモニー管弦楽団団員による室内楽曲集です。,
 ベートーヴェンの「七重奏曲変ホ長調」は第1楽章から緊張感のある演奏になっています。クラリネットとファゴットの溶け合う響きも素晴らしく、展開部のホルン・ソロもきれいです。さすがにベルリン・フィルの首席たちです。第2楽章の穏やかな響き、中間部のホルンのソロもきれいです。第3楽章の快活な演奏とトリオの明るいホルンのソロも聞きものです。第4楽章の主題と変奏曲はクラリネットとファゴットで主題が歌われ、感動的な演奏になっています。ホルンのソロは穏やかな響きです。第5楽章のスケルツォはギュンター・ケップのホルンで始まります。やや抑え気味ながらも存在感のあるホルンです。第6楽章は序奏でホルンが哀愁的な主題を吹いています。ヴァイオリンが続きます。プレストからは息の合った見事なアンサンブルを聞かせます。ヴァイオリンが主題を提示します。ホルンの響きが印象的です。後半にヴァイオリンのカデンツァが入ります。
 モーツァルトの「ファゴットとチェロのためのソナタ変ロ長調」は3つの楽章で構成されています。ブラウンのファゴットとマヨウスキーのチェロで演奏されています。作品はファゴットのソロが主でまるでファゴット協奏曲のようです。モーツァルトはファゴット協奏曲を残していますが似たような作風です。各楽章とも3分余りの小品です。
 ベートーヴェンの「ピアノと管楽の為の五重奏曲変ホ長調」は1796年の作、ベルリン・フィルの首席奏者たちとデムスのピアノによる華麗な響きの演奏が繰り広げられています。3つの楽章で構成され、コッホのオーボエ、ライスターのクラリネット、ザイフェルトのホルン、ピースクのファゴットという贅沢なメンバーによる演奏です。
 シューベルトの「八重奏曲ヘ長調」は第1楽章:前奏のアダージョに続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くザイフェルトのホルンのソロは滑らかな演奏で、よい響きを出しています。提示部のリピートはありません。展開部は勢いがあり緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロがゆったりと高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ヴァイオリンもきれいです。管楽器のユニゾーンの美しい響きはベルリン・フィルらしいです。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もきれいです。クラリネットやチェロもよい響きです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。勢いのある演奏はまさに小さなオーケストラです。ザイフェルトのホルンが鮮やかに聞こえてきます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。ザイフェルトが演奏するホルンの第3変奏は滑らかなでよい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏も良い演奏です。リピートはありませんが後半も見事な演奏です。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ザイフェルトのホルンは滑らかでさすがに素晴らしい演奏です。トリオのファゴットの響きもきれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはまさにベルリン・フィルの演奏を聞いているかのようです。大変良い響きを出しています。演奏時間52分01秒。
 ヒンデミットの「八重奏曲」は1957〜8年の作品です。初演は1958年9月のベルリン音楽祭で献呈されたベルリン・フィルハーモニー八重奏団による演奏でした。ヒンデミットがヴィオラを弾いて参加していました。5つの楽章で構成されています。冒頭から不協和音が鳴り響くもので演奏が難しいものと思われます。第2楽章は比較的わかりやすく、ホルンの主題も目立ちます。第3楽章:ラングザムは「レント」にあたるドイツ語でゆったりとしたテンポで演奏されます。ホルンのソロがあります。第4楽章は不協和音が響く小品。第5楽章は「フーガと3つの舞曲」でフーガとワルツ、ポルカとギャロップが演奏されます。さすがに素晴らしい演奏です。
 プロコフィエフの「五重奏曲ト長調」はオーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとコントラバスの五重奏です。6つの楽章で構成されています。いわばバレエ音楽のようでもあり第2楽章がコントラバスのソロで始まるのは面白いです。
 ベートーヴェンの「管楽器のための八重奏曲変ホ長調」は1792年22歳の初期の作品でマクシミリアン選帝侯の食卓の音楽として書かれています。4つの楽章からなる魅力的な音楽です。管楽器の響きが大変きれいです。ベルリン・フィルのコッホ、ライスター、ザイフェルト、ピースクなどの完璧なアンサンブルが聴かれます。


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