シューベルト/八重奏曲

ジェームズ・サマーヴィル(2002)
CD(CBC Records MVCD1159)

1.シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D80
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    バスーン(ファゴット)のための
2.シューベルト/弦楽三重奏曲第1番
                 変ロ長調D471

 カナダ室内合奏団
 ジョナサン・クロー(ヴァイオリン)(1&2)
 アンドリュー・ダウェス(ヴァイオリン)(1)
 ギライーヌ・ルメール(ヴィオラ)(1&2)
 ジュリアン・アルモル(チェロ)(1&2)
 ミュリエル・ブリュノー(コントラバス)(1)
 キンボール・サイクス(クラリネット)(1)
 クリストファー・ミラール(バスーン)(1)
 ジェームズ・サマーヴィル(ホルン)(1)
 録音 2002年6月14&15日

 カナダ室内合奏団はカナダのオタワ室内楽協会に所属するメンバーで構成されています。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョからよい響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くサマーヴィルのホルンは滑らかで勢いのある演奏です。ヴァイオリンとチェロの緊張感のある演奏も素晴らしいです。展開部も緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。弦楽の圧倒的な響きは見事なものです。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに朗々と歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。木管のユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。チェロとファゴットの響きも素晴らしいです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ジョナサン・クローのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。トリオのクラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。第2変奏の勢いのある演奏も素晴らしいです。第3変奏はサマーヴィルの吹くホルンが大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラの響きがよく聞こえています。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響き、第7変奏は速いテンポで管楽器の響きが素晴らしい。ヴァイオリンも良い響きです。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。サマーヴィルのホルンは明るいです。トリオのファゴットの響きも素晴らしいです。ホルンの高音もきれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルです。細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラです。良い演奏です。演奏時間65分03秒。
シューベルトのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための三重奏曲第1番は1816年に書かれています。それもアレグロの楽章だけで未完の作品となりました。第2楽章は断片のみ書かれて終わっています。アレグロの楽章は大変よくできています。大曲八重奏曲のあとに聴く作品としてもうってつけと思います。演奏も素晴らしいです。


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