シューベルト/八重奏曲

クラウス・ヴァレンドルフ(1983)
CD(cpo 999 744−2)

シューベルト/室内楽作品集
1.八重奏曲ヘ長調Op166、D803
  〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
   コントラバス、クラリネット、ホルンと
  ファゴットのための
2.九重奏曲変ホ長調D79
  〜2つのクラリネット、2つのホルン、
  2つのファゴット、コントラバスと
  2つのトロンボーンのための

  コンソルティウム・クラシクム
  ディーター・クレッカー(クラリネット)(1&2)
  カール=オットー・ハルトマン(ファゴット)(1&2)
  クラウス・ヴァレンドルフ(ホルン)(1)
  ウェルナー・グロブホルツ(ヴァイオリン)(1)
  ディートマル・フォルスター(ヴァイオリン)(1)
  ヘルムート・ニコライ(ヴィオラ)(1&2)
  ヘルマー・シュティーラー(チェロ)
  ヴァルター・メウター(コントラバス)(1&2)
  ヴァルデマール・ヴァンデル(クラリネット)(2)
  エバーハルト・ブッシュマン(ファゴット)(2)
  ニコラウス・グリューガー(ホルン)(2)
  ウルリヒ・フォン・シュテム(ホルン)(2)
  ヘルムート・ザイフェルト(トロンボーン)(2)
  クラウス・メーニッヒ(トロンボーン)(2)
   録音 1983年

 ディーター・クレッカーをリーダーとするコンソルティウム・クラシクムによるシューベルトの八重奏曲です。第1回目の録音でした。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから厚い響きを出しています。ホルンがよく響きます。続くアレグロは速めのテンポで整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くヴァレンドルフのホルンは滑らかで良い響きの演奏です。提示部のリピートはありません。展開部は緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。弦楽がよい響きです。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクレッカーのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。続くヴァイオリンとの絡みも素晴らしい響きです。木管のユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。弦楽とクラリネットの素晴らしさ、後半のファゴットの響きも素晴らしいです。コーダのコントラバスのピツィカートは大変よく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。クレッカーのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。トリオのクラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。弦楽もよい響きです。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。第2変奏は勢いもあって良い響きを出しています。第3変奏はヴァレンドルフのホルンが大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいに響きます。後半は特によい響きです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラがよく響きます。これは素晴らしい演奏です。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響き、第7変奏は速いテンポで管楽器の響きが素晴らしい。弦楽の響きも素晴らしいです。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。
ヴァレンドルフのホルンは明るいです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットとホルンの響きが素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏が大変緊張感のある演奏です。続くアレグロは見事な演奏です。テンポは速めで細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラのようで素晴らしいアンサンブルです。これは絶賛したい名演奏です。演奏時間57分16秒
 九重奏曲変ホ長調はなんとシューベルトが自分のお葬式のために書いた作品でした。それも16歳の時に書いたといいますから驚きです。曲は2本のホルンで始まり悲しそうな和音が涙をさそいます。静かな葬送音楽は31歳で亡くなったシューベルトの生涯を予期していたかのような美しい作品です。
(2000年にEMIによるリマスターで発売のドイツ盤)


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