シューベルト/八重奏曲

ラースロー・ガール(2004)
CD(HUNGAROTON HCD 32291)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

  東京・ブダペスト・アンサンブル
  ガーボル・タカーチ・ナジ(ヴァイオリン)
  砂川 りょう子(ヴァイオリン)
  シャーンドル・ナジ(ヴィオラ)
  ティボール・レーニー(チェロ)
  カールマン・ベルケシュ(クラリネット)
  岡崎 耕治(ファゴット)
  ラースロー・ガール(ホルン)
  ゾルト・ティバイ(コントラバス)
   録音 2004年2月19〜24日
   ブダペスト/フンガロトン・スタジオ

 カールマン・ベルケシュをリーダーとして、東京とブダペストの演奏家で結成したアンサンブルによるシューベルトの八重奏曲です。ファゴットには当時N響に在籍していた岡崎耕治が参加しています。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間以上もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとベルケシュのクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くホルンは明るく軽いヴィブラートでハンガリーのホルンらしい響きの演奏です。展開部も緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが明るく高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはベルケシュのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。続くヴァイオリンとの絡みも素晴らしい響きです。木管のユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが明るく歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。弦楽とファゴットの響きも素晴らしいです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ベルケシュのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。トリオの弦楽もよい響きです。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。第2変奏は勢いもあって良い響きを出しています。第3変奏はガールのホルンが大変よい響きです。ファゴットとヴァイオリンもきれいに響きます。後半のホルンは素晴らしいです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラがよく響きます。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響き、第7変奏は速めのテンポで管楽器の響きが素晴らしい。弦楽の響きも素晴らしいです。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ガールのホルンは大変明るいです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットとホルンの響きが素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏が大変緊張感のある見事な演奏です。続くアレグロは見事な演奏です。テンポは速めで細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラのようで素晴らしいアンサンブルです。絶賛したい名演奏です。
演奏時間59分48秒


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