J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

クロード・モーリー&ピエト・ドンブレヒト(ナチュラルホルン)(1994)
CD(DHM BVCD-1627-28)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番ヘ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
4.      〃       第4番ト長調BWV1049
5.      〃       第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051

 ジギスヴァルト・クイケン指揮 
 ラ・プティット・バンド
 クロード・モーリー(ナチュラルホルン)(1&2)
 ピエト・ドンブレヒト(ナチュラルホルン)(1)
 マルセル・ポンセール(オーボエ)(1&2)
 北里 孝浩(オーボエ)(1)
 アン・ヴァンランカー(オーボエ)(1)
 マルク・ヴァロン(ファゴット)(1)
 ジギスヴァルト・クイケン(ヴィオリーノ・ピッコロ)(1)
 ジギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)(2〜5)
 ジギスヴァルト・クイケン(ヴィオラ)(6)
 寺神戸 亮(ヴァイオリン1)(1、2)
 寺神戸 亮(ヴィオラ)(3、4&6)
 ルイス・オタヴィオ・サントス(ヴァイオリン1)(1〜4)
 フランソワ・フェルナンデス(ヴァイオリン2)(1〜5)
 ミナム・ヘーフェルス(ヴァイオリン2)(1&2)
 戸田 薫(ヴァイオリン2)(1、2)
  マルレーン・ティアーズ(ヴィオラ)(1〜3)
 赤津 眞言(ヴィオラ)(1、2、3&5)
 鈴木 秀美(チェロ)(1〜3、5&6)
 エマヌエル・バルサ(チェロ)(1〜3)
 エマヌエル・バルサ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
 ジェームズ・ムンロー(コントラバス)(1〜6)
 ピエール・アンタイ(チェンバロ)(1〜6)
 バルトルド・クイケン(リコーダー)(2&4)
 バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)(5)
 クーン・ディールティエンス(リコーダー)(4)
 ヴィーラント・クイケン(チェロ)(3&4)
 ヴィーラント・クイケン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
  録音 1994年1月3〜8日(1&2)
      1993年5月24〜28日(3〜6)

 ジギスヴァルト・クイケン率いるラ・プティット・バンドによるブランデンブルク協奏曲全集です。古楽器による少人数による演奏です。第1番は18名、第2番は15名、第3番は11名、第4番は9名、第5番と第6番は7名の演奏です。 
  第1番は2本のホルン、3本のオーボエ、ファゴットとヴァイオリンがソロ楽器になります。管楽器の響きの大きさに合わせてヴァイオリンが6、ヴィオラが2、そしてチェロ2、コントラバスとチェンバロで演奏されています。第1楽章は2本のホルンが冒頭から鳴り響きます。3本のオーボエとファゴットもよく響きます。モーリーとドンブレヒトのナチュラルホルンは実に素晴らしい響きです。第2楽章ではオーボエとファゴットとヴァイオリンのアンサンブルが見事です。第3楽章のアレグロでは2本のホルンが明るく響いています。まるでモダンホルンのようです。ヴァイオリン・ソロも素晴らしい。第4楽章のメヌエットはやや速めのテンポで演奏しています。第1トリオでは3本のバロック・オーボエとファゴットの響きが聞きもの、中間部のポロネーズは速めのテンポで演奏していました。第2トリオのホルンはやや速めのテンポで素晴らしい演奏をしています。オーボエとの掛け合いも見事です。
 第2番ではトランペットのパートをナチュラルホルンで演奏しています。ヘ長調という調性はホルンで吹きやすいこともありますが、15名の編成でトランペットが吹くと飛びぬけて高い音が他の楽器の音を消してしまいますので、オクターブ低いホルンで吹くことは理にかなっています。クロード・モーリーのホルン・ソロは素晴らしく、まるでホルン協奏曲のようです。リコーダーもきれいに響きます。第2楽章はヴァイオリン・ソロとオーボエ、リコーダーのトリオが聞きものです。第3楽章はホルンの高音を使いますが、トランペットとは異なる美しさがあります。ホルンの超絶技巧が聞かれます。オーボエとリコーダーもきれいです。
  第3番は弦楽合奏とチェンバロだけの演奏で11名の編成で演奏していますので厚みのある響きが素晴らしい。第2楽章:アダージョではヴァイオリンのソロが挿入されています。第3楽章のアレグロは弦楽の緻密な演奏が素晴らしい。
  第4番は2本のリコーダーが華やかに響きます。ヴァイオリンがソロ楽器に加わりますが、伴奏が弦楽四重奏とコントラバス、チェンバロだけで9名の演奏です。それだけにリコーダーの響きが大変よく聞こえてきます。クイケン兄弟の演奏が素晴らしいです。第2楽章では2本のリコーダーが大変よい響きです。この曲の魅力のひとつです。第3楽章のプレストは弦楽の響きがきれいです。リコーダーの柔らかな響きが素晴らしいです。
 第5番はフルート、ヴァイオリンとチェンバロがソロ楽器になります。バルトルド・クイケンのフラウト・トラヴェルソは甘い響きがきれいです。ジギスヴァルト・クイケンのヴァイオリンとアンタイのチェンバロも素晴らしく、第1楽章後半では長いカデンツァがチェンバロだけで演奏されますが、この響きがなんともいえません。第2楽章はチェンバロのアルペッジョに続くフルートのやわらかな響きとヴァイオリンがきれいです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとトラヴェルソ・フルートの息の合った演奏が見事です。7名の演奏で伴奏がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとコントラバスが各1名という少ない編成ですが、十分に楽しめる演奏になりました。
  第6番はヴィオラ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ2、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯します。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが流麗な演奏をします。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。7名の演奏だけに音の厚みは足りませんが、アンサンブルの美しさは素晴らしいものです。


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