J・S・バッハ/ホルン作品集

フーガ イ短調、他/アレクサンデル・シェベスチク(2019)
CD(DUX DUX1576)

クァトロコルノ Vol.2〜1本のホルンによる四重奏集
1.フランセ/ノットゥルノとディヴェルティメント
2.ブルックナー/アンダンテ変二長調
          (ミヒャエル・ヘルツェル編)
3.チャイコフスキー/ピッツィカート・オスティナート
          (ローウェル・E・ショー編)
4.J・S・バッハ/今やすべてがあなたの足下に
      (アレクサンデル・シェベスチク編)
5.J・S・バッハ/フーガ イ短調BWV.947
         (ラルフ・ロックウッド編)
6.ケルビーニ/ソナタ第1番ヘ長調
      (アレクサンデル・シェベスチク編)
7.F・シュトラウス/前奏曲、主題と変奏 Op.13
       (アレクサンデル・シェベスチク編)
8.R・シュトラウス/我が心は固く武装して
   (歌劇「ばらの騎士」より)(シェベスチク編)
9.ケルビーニ/ソナタ第2番ヘ長調
      (アレクサンデル・シェベスチク編)
10.シマノフスキ/レント・テーマ(交響曲第2番より)
    (アレクサンデル・シェベスチク編)

  アレクサンデル・シェベスチク(ホルン)(多重録音)
 録音 2019年スタジオ・アンジェイ・レワク(ワルシャワ)

 アレクサンデル・シェベスチクはポーランドのホルン奏者です。1本のホルンで4つのパートを演奏する録音はこれが2度目になります。
 ジャン・フランセの「ノットゥルノとディヴェルティメント」はホルン四重奏のための作品です。ホルン四重奏曲としては小品ですが、夜想曲の前半の美しさがあり、後半のディヴェルティメントは合奏が難しいところですがシュベスチクは素晴らしいアンサンブルになっています。
 ブルックナーのアンダンテ変二長調はミヒャエル・ヘルツェルの編曲です。原曲はコラールでヘ長調からの編曲です。オルガンを聴くような美しい響きです。
 チャイコフスキーの「ピッツィカート・オスティナート」は交響曲第4番の第3楽章の冒頭ピツィカートの部分をフリッパリーズで有名なローウェル・E・ショーが4本のホルンのために編曲したものです。このピツィカートの部分をホルンで演奏するとは凄いです。
 J・S・バッハの「今やすべてがあなたの足下に」はオラトリオ第11番「御国にまします神をたたえよ」BWV.11のコラールからシュベスチクが4本のホルンのために編曲したものです。厳かな響きが素晴らしい演奏です。
 J・S・バッハの「フーガ イ短調BWV.947」はクラヴィア曲からラルフ・ロックウッドが4本のホルンのために編曲したものです。オルガン作品とはことなるフレーズの細やかさがホルンのアンサンブルによく合います。これも素晴らしい演奏です。
 ルイジ・ケルビーニはホルンと弦楽のためのソナタを2曲書いています。ソナタ第1番をシェベスチクが4本のホルンのために編曲しました。おだやかなテンポの単一楽章のソナタです。弦楽のパートまでホルンで演奏するとソロ・ホルンが目立ちませんがユニゾーンになったりして、その響きが大変よいものです。素晴らしい演奏です。
 フランツ・シュトラウスの「前奏曲、主題と変奏 Op.13」はホルンとピアノのための作品です。これをシェベスチクが4本のホルンのために編曲しました。伴奏の部分までホルンで演奏されますので、ホルンアンサンブルのための作品のようになっています。見事な演奏です。
 リヒャルト・シュトラウスの「我が心は固く武装して」は歌劇「ばらの騎士」のテノールのアリアからシェベスチクが4本のホルンのために編曲したものです。ホルンの和音が大変良い響きになっています。まるでホルンのオリジナル作品のようです。
 ケルビーニのホルンと弦楽のためのソナタ第2番をシェベスチクが4本のホルンのために編曲しました。ホルンのための作品としても有名なこの作品をホルン四重奏にしてしまうとは驚きです。弦楽のパートをホルンで演奏するとホルンの新たな響きが聞こえてきますので、これがまた素晴らしい響きになります。後半のアレグロ・モデラートの軽快な主題はホルン四重奏になって楽しい演奏になります。カデンツァはソロですがコーダのホルン四重奏は聞いたことのない響きが魅力です。これは素晴らしい演奏です。
 カロル・シマノフスキはシェベスチクの故郷ポーランドの作曲家です。レント・テーマは交響曲第2番の第2楽章「主題と変奏曲」のレントの主題をシュベスチクが4本のホルンのために編曲したものです。短いテーマですが穏やかな演奏と響きが美しいです。これは素晴らしいアルバムです。


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