J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

トーマス・ミュラー&ハビエル・ボネ(1991)
CD(ALIA VOX AVSA-9871A/B)2枚組 

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番へ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.      〃       第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051

トーマス・ミュラー(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
ハビエル・ボネ(コルノ・ダ・カッチャ)(1)
アルフレード・ベルナルディーニ(オーボエ)(1)
パオロ・グラッツィ(オーボエ)(1&2)
パオロ・ファルディ(オーボエ)(1)
ジョセプ・ボラス(ファゴット)(1)
ファビオ・ビオンディ(ヴァイオリン)(1、2、4&5)
フリーデマン・インマー(トランペット)(2)
ペドロ・メメルスドルフ(リコーダー)(2&4)
ジュリオ・カポカッチャ(リコーダー)(4)
マルク・アンタイ(フラウト・トラヴェルソ)(5)
ピエール・アンタイ(チェンバロ)(5)
アンジェロ・バルトレッティ(ヴィオラ・ダ・ブラッチョ)(6)
ファビオ・ビオンディ(ヴィオラ・ダ・ブラッチョ)(6)
エウニーチェ・ブランデオ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
ロレンツ・ドゥフトシュミット(ヴィオラ・ダ・ガンバ)(6)
ジョルディ・サヴァール(ヴィオラ・ディ・バッソ)(6)
ジョルディ・サヴァール指揮
 ル・コンセール・デ・ナシォン
 録音 1991年3月
 パドゥヴァ/ジュスティ・デル・ジャルディーノ館

 ジョルディ・サヴァール指揮のル・コンセール・デ・ナシォンによるブランデンブルク協奏曲全集です。ピリオド楽器による演奏です。
 ブランデンブルク協奏曲第1番は第1楽章が程よいテンポで始まり、コルノダ・カッチャ(ナチュラルホルン)の独特の響きがあります。トーマス・ミュラーとハビエル・ボネの演奏でストップ音もきれいです。またバロックオーボエとヴァイオリン(ヴィオリーノ・ピッコロ)が大変きれいに響きます。第2楽章はオーボエのチャーミングな響きとヴァイオリンの対話がきれいです。第3楽章は良いテンポで2本のホルンがにぎやかに響きます。ナチュラルホルンらしい響きです。ヴァイオリンのソロもきれいです。第4楽章のメヌエットは速めのテンポで始まります。ホルンの響きがきれいです。第1トリオのオーボエ3本とファゴットはやわらかな響きで大変きれいです。ポロネーズは速めのテンポで演奏しています。跳ねるようなリズムは元気な演奏です。メヌエットに続く第2トリオのホルンとオーボエの演奏は速めのテンポで見事な演奏です。ミュラーとボネのホルンは素晴らしい響きです。これは大変素晴らしい演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第2番はフリーデマン・インマーのバロックトランペットの響きが独特です。またグラッツィのオーボエやメメルスドルフのリコーダーの響きもきれいです。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、リコーダーのトリオが大変きれいです。通奏低音もよく響きます。第3楽章ではトランペットの高域の音が飛び交いますので華やかです。インマーのバロックトランペットは大変素晴らしい演奏です。リコーダー、ヴァイオリンとオーボエの響きもまたきれいです。

 ブランデンブルク協奏曲第3番はやや速めのアレグロの第1楽章は弦楽の美しさがあります。重厚で感動的な響きです。第2楽章のアダージョはチェンバロの短いカデンツァが入ります。そして弦楽にチェンバロが重なって終わります。第3楽章のアレグロは緻密な演奏の弦楽が素晴らしいです。

 ブランデンブルク協奏曲第4番の2本のリコーダーはペドロ・メメルスドルフとジュリオ・カポカッチャによる演奏です。これこそリコーダーの和音と言える素晴らしい響きです。ファビオ・ビオンディのヴァイオリンと共に良い響きです。第2楽章のアンダンテはメメルスドルフらのリコーダーの音色の美しい響きと弦楽の厚い響きが素晴らしいです。第3楽章冒頭の弦楽の響きがきれいです。2本のリコーダーとヴァイオリン・ソロも素晴らしい響きです。

 ブランデンブルク協奏曲第5番は弦楽の爽やかな序奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロが演奏するバッハの代表的な協奏曲のひとつです。マルク・アンタイのフラウト・トラヴェルソ、ファビオ・ビオンディのヴァイオリンとピエール・アンタイのチェンバロの素晴らしい演奏が聞かれます。後半のチェンバロ・ソロも見事なものです。第5番はここが聞きどころです。第2楽章はチェンバロとフラウト・トラヴェルソのやわらかな響きとヴァイオリンのトリオ・ソナタがきれいです。チェンバロのメロディもまたきれいに響きます。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとフラウト・トラヴェルソの息の合った演奏が聴きどころでしょう。ピエール・アンタイのチェンバロもこれは見事な演奏です。

 ブランデンブルク協奏曲第6番はヴィオラ・ダ・ブラッチョ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、ヴィオラ・ディ・バッソとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラ・ダ・ブラッチョ、ヴィオラ・ダ・ガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますが緻密で素晴らしい演奏になっています。勢いがあります。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラ・ダ・ブラッチョとチェロが優雅に演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。程よいテンポでこれも素晴らしい演奏です。


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