その他のホルン作品

Se hace saber/21世紀のホルン作品/マリア・ルビオ(2022)

CD(IBS Classical IBS112023)

Se hace saber/21世紀のホルン作品
1,イェルク・ヴィトマン/Air エア
     〜無伴奏ホルンのために
2.ビセント・ゴメス・ポンス/e-Corno イー・コルノ
    〜ホルンとエレクトロニクスのために
3.ニーナ・シェンク/One's Song 〜ホルンと
       エコー・アンサンブルのために
4.アレマニ/ジークフリート・デリリウム II
      〜ホルンとエレクトロニクスのために
5.ジョアン・マグラーネ/Appel 呼び声 
           〜無伴奏ホルンのために
6.ボーロ・ガルシア/ Empremtes liquids 
            〜無伴奏ホルンのために
7.アムパロ・エド・ビオル/Maruna マルナ 
           〜無伴奏ホルンのために
8.ボーロ・ガルシア/エゴのアレゴリー 
       〜ホルンとバス・トロンボーンのために
9.エレナ・メンドーサ/Se hace saber(知らしめよ)
       〜ホルンとパーカッションのために

 マリア・ルビオ(ホルン)
    〃   (電子楽器)(2&4)
 カルメン・アンテケーラ(ヴァイオリン)(3)
 マリア・モガス・ヘンサーナ(アコーディオン)(3)
 マイテ・ガルシア・アティエンサ(チェロ)(3)
 ビセンテ・エンリケ・ボシュ・サンス
          (バス・トロンボーン)(8)
 フリオ・テンデロ(パーカッション)(9)
 録音 2022年6月28〜30日

 スペインのバレンシア出身のホルン奏者マリア・ルビオの「Se hace saber(知らしめよ)」と題されたアルバムです。マリア・ルビオはバレンシアのロドリーゴ音楽院及びフライブルク音楽大学でホセ・ロセル、ブルーノ・シュナイダー、ハビエル・ボネに師事。モダン楽器とピリオド楽器双方を学びました。2002年からはバレンシア管弦楽団のソロ・ホルン奏者です。

 イェルク・ヴィトマン(1973-)の「Air エア」は無伴奏ホルンのための作品です。ナチュラルホルンを吹くような奏法で、低音から高音まで豪快な演奏です。テンポ設定にかかわらない自由な演奏です。ゲシュトップ奏法も使い、スラー、グリッサンドと力強いホルンの演奏です。

 ビセント・ゴメス・ポンス(1961-)の「e-Corno イー・コルノ」はホルンとエレクトロニクスのために書かれた作品です。マリア・ルビオがホルンと電子楽器の両方を演奏しての録音です。最初は電子楽器の異様な音に始まって、やがてホルンが入ります。打楽器のような音も聞こえます。ホルンはナチュラルホルンのように無弁の音が流れます。やがて華麗なホルンと、電子楽器のきれいな響きも聴かれます。後半のホルンは見事な演奏です。終結のころに弦楽器のような音も聴かれます。

 ニーナ・シェンク(1982-)の「One's Song」はホルンとエコー・アンサンブルのために書かれた作品です。ヴァイオリンとチェロとアコーディオンが入ります。ホルンの豪快な演奏も見事です。ゆったりとした演奏で、ヴァイオリンとチェロがロングトーンで響きます。ホルンだけが豪快に演奏しています。

 ホアン・ゴメス・アレマニ(1990-)の「ジークフリート・デリリウム II」はホルンとエレクトロニクスのために書かれています。豪快なホルンで強烈なホルン独奏が続きます。電子楽器の音も引き立ちます。多彩な響きです。やがてワーグナーの「ジークフリート」の主題が演奏されます。バックにも流れます。後半にはモーツァルトのホルン協奏曲第4番のロンドの主題も歌っています。チャイコフスキーの交響曲第5番の第2楽章の主題も歌っています。バックの電子楽器もにぎやかです。

 ジョアン・マグラーネ(1988-)の「Appel 呼び声」は無伴奏ホルンのために書かれた作品です。無伴奏ホルンの演奏で、呼びかけるような歌です。それにしても強烈なホルンです。ゲシュトップ奏法やリップトリルもうまいです。

 ボーロ・ガルシア(1970-)の「Empremtes liquids」も無伴奏ホルンのための作品です。フワッフワーで始まります。楽しそうな演奏です。マリア・ルビオのホルンがきれいに響きます。10分の長い曲です。中間部には多彩なテクニックで華麗な響きが流れます。後半も素晴らしい演奏です。

 アムパロ・エド・ビオル(1988-)の「Maruna マルナ」も無伴奏ホルンのための作品です。きれいなホルンに始まります。穏やかですが、華麗な響きのホルンが聴かれる小品です。

 ボーロ・ガルシアの「エゴのアレゴリー」はホルンとバス・トロンボーンのための作品です。ブワーブワーで始まるこの作品はバストロンボーンの演奏の見事さと、ホルンの手さばきの相性がききものです。ホルンはハイトーンが魅力です。徐々に楽しい響きの演奏になります。

 エレナ・メンドーサ(1973-)の「Se hace saber(知らしめよ)」はホルンとパーカッションのための作品です。冒頭からビブラフォンと奏者の掛け声まで響きます。ホルンは楽しそうです。だんだん華麗な響きのホルンになります。ビブラフォンのテンデロが叫びながら演奏しています。やがてティンパニも入ります。静かになって、後半にはホルンとビブラフォンがきれいに響きます。最後に「Se hace saber」の掛け声があって終わります。
 この「21世紀のホルン作品」はなかなかの聞き物です。


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