シューベルト/八重奏曲

ターマシュ・ゼンプレーニ(1992)
CD(NAXOS 8.550389)

シューベルト/2つの八重奏曲
1.八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための
2.八重奏曲ヘ長調D72「メヌエットとフィナーレ」
   〜2つのオーボエ、2つのクラリネット、
   2つのホルンと2つのファゴットのための

  ブダペスト・シューベルト・アンサンブル
  ターマシュ・ゼンプレーニ(ホルン)(1&2)
  イシュトヴァン・ボルザ(ホルン)(2)
  ゲザ・バンヘジ(クラリネット)(1&2)
  ラスーロ・キシュ(クラリネット)(2)
  ヨーゼフ・キシュ(オーボエ)(2)
  ジェルジー・マー(オーボエ)(2)
  ジェルジー・ラカトシュ(ファゴット)(1&2)
  ジェルジー・オラホシュ(ファゴット)(2)
  録音1992年2月10〜14日

 このアルバムはハンガリーの演奏家によるシューベルトです。シューベルトの八重奏曲D803は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから緊張感のある演奏です。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラネットが良い響きです。弦楽王国ハンガリーのヴァイオリンは大変きれです。ゼンプレーニのホルンは明るい響きで演奏しています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットとホルンが対話しながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ユニゾーンの美しさは素晴らしいものです。中間部ではホルンソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話がまたきれいです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。弦楽主導ながらもクラリネット、ファゴットの響きもまた素晴らしい。トリオがよい響きです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの美音が素晴らしい響きです。ホルンの変奏にはファゴットやヴァイオリンがきれいに絡みます。続くチェロの変奏もまた素晴らしい響きです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。ヴァイオリンそしてクラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ゼンプレーニのホルンの豊かな響きが印象的です。優雅な響きのメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは小さなオーケストラのようで、大変素晴らしいアンサンブルになっています。演奏時間57分25秒。
 八重奏曲ヘ長調D72「メヌエットとフィナーレ」は編成が2つのオーボエ、2つのクラリネット、2つのホルンと2つのファゴットになっています。「メヌエット」は管楽器のみの響きが華やかです。ベートーヴェンの管楽八重奏を彷彿させますが同じフレーズの繰り返しがあるのはやはりシューベルトです。第2トリオのホルンのソロが大変きれいです。これはまさに歌曲のようです。「フィナーレ」はオーボエの主題が大変華やかです。8本の楽器は力のこもった演奏を繰り広げています。


トップへ
戻る
前へ
次へ